第2章 心をさらったあなたへ
それからも雪村は何だかんだ俺の担当を外れなかった。
本人曰く、仕事を投げ出すのは性に合わねェらしい。
しかも白衣を着るとやはりあの調子で、コイツこそ何かの病気なんじゃねェかとすら思う。
以前よりも少し多く見せるようになった表情を数えながら、日々は瞬く間に過ぎていった。
2週間が経った頃、俺は任務に復帰することになった。
「本当にもう復帰されるんですか」
「お前が許可しただろ」
「 …そうですが。未だに信じられない回復速度です」
あってないような量の荷物を纏め、病室の戸に手をかける
「もう、」
「あ?」
「もうここには帰ってこないでください。…でも、絶対に帰ってきてください。」
「…………」
「不死川さん」
背中に刺さる声が痛い
「…世話になったな」
「不死川さん!!!」
あぁクソ、泣いてんじゃねェよ。
「…うるせェ」
「…ぇ…?」
「うるせェっつったんだ!!関係ねェだろテメェは俺の何だ!?」
「関係なくありません!私は!……私は不死川さんの……っ担当医です!!」
「じゃあここを一歩出たら今度こそ関係なくなるなァ!!」
「っ……わかりました!!!もう不死川さんがどんな状態で帰ってきても私は治療しませんから!!!」