第2章 心をさらったあなたへ
雪村は大福みてぇな顔を真っ赤に染め上げて、嵐のように病室を出て行く
昨日の今日でこの変わりようかよ…泣いたり笑ったり忙しねェ。あれが本来のあいつか。
ほんの少し前…出会った頃には想像もつかなかったあどけない笑顔と、腕の中で震えていた背中を思い出すと、苦々しいものが胸に広がる
ーーー悪鬼滅殺。目的はただ一つだ。
だが今、心に生まれたもの…自分の中に到底あるはずもなかったそれは、無視できないほどに大きくなりつつあった
…アイツが心から笑って過ごせる日が、増えたらいい。
明日もアイツの笑顔が見られるなら、それもいい。