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心をさらったあなたへ【鬼滅の刃/不死川実弥】

第2章 心をさらったあなたへ





部屋に近づいてくる足音で目が覚めた


(この足音は…雪村か。こんな時間まで仕事か?)


…カララララ…


暗くて姿は見えないが、いつもと少し気配が違う気がする


(オイオイ、黙って入ってくるたァどういうつもりだ?…ちと寝たフリして様子見っかァ…)


静かに入ってきた足音が寝台横の椅子に腰掛け、冷たい指を絡めてきた


「…っ…ふ、ぅ…っ」


(あ…?泣いてやがんのか?)


握っていた手がするりと布団の中をすべり、俺の腹の上で止まる


(柱ナメてんのか。いや俺をナメてんのか?殺気が無いとはいえこんなん大体の人間は起きるだろ……っ!?)


まただ
しぶとく残っていたこわばるような腹の違和感が少しずつ和らいでいく
しばらくすると、その手はまたするりと移動して俺の手に重なった


雪村はまだ泣いているのか、時々詰まる呼吸をふうぅと何度も鎮めている



(いい加減どういうつもりか確かめてやらァ)


目を開けようとした時



(っ!?)



途端、濃く香った水の匂いと口に触れた感触に、埋もれていた記憶の欠片がぱちりと嵌まった
灼けるような痛みの中から救いあげてくれたあの温度。
…そうか。ずっと、お前だったんだなァ




ゆっくりと目を開けると、緩く伏せられた金色の水面と目があった
はっとしたように見開いて離れようとする後頭部を捕まえ、噛み付くように引き寄せる


「んん…っ、」

「はっ…」


…やっぱ泣いてたか。塩辛ェ


「…何泣いてやがんだ俺は死んでねェぞ」


唇が触れるか触れないかの距離でそう言ってやれば


「…ぁ、あ、え…」


目を泳がせて口をパクパクさせている


「”いろいろと”聞きたいことがあんなァ?雪村さんよ」

「っや!あ!失礼しました!!!失礼します!!!!!おやすみなさい!!!!!!」

「待ちやがれゴラァ」

「ひぎゃっ」


逃げようとした腕をガッチリ捕まえると
雪村はつんのめってコケた。阿呆か。


「座れ。」



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