• テキストサイズ

心をさらったあなたへ【鬼滅の刃/不死川実弥】

第2章 心をさらったあなたへ








逃げるように自室に戻り
音も光も、全てを遮るようにきつく布団を被った。
眠れない夜はいつもこうする。
薄いこの一枚だけが、私を守ってくれる。
ここなら、大丈夫。何も怖くない。きっと。


「…ぅぅ…っ…」


気付かれてしまった
不死川さんに



知られてはいけなかった
知られたくなかった



「うぅ…っ…嫌い、嫌い、嫌い嫌い…!!!」



左袖をまくると現れる、波打つような青緑色と
それを囲む赤紫色の火傷痕に強く強く爪を立てた



『千聡走って!生きるのよ!!!』

(ーーーー嫌だ、嫌だよ…!おかあさん!おかあさん…!!!)




ーー気味が悪い。
ーーー化け物がうつる!
ーーーー近寄るな人殺し!!!




声が私を追いかけてくる
もがけばもがくほどうまく息ができなくて
まるで暗い海に引き摺り込まれるみたい



どんなに引っ掻いても叩いても、
淡く光を映す鱗には傷一つついてくれなかった



血が滲み始めた腕にきっちりと包帯を巻き、薄闇に沈む道を本部へと歩き始めた





/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp