第1章 幼なじみ / 甘裏
昼休み、私は図書室へ足を運んでいた。
『えーと、この辺だったような…』
「何してんだ?」
『うわっ//』
また急に声をかけられてびっくりする。
『ばぁうくん!急に声をかけないでっ//』
「はぁ?んなつもりねぇって、勝手に驚いてんのはそっちだろ?
それより何してんだよ?」
『何って、本探してるの、この辺なんだけど…』
キョロキョロと本棚を見ながら、探し始めた。
「足元見ねぇと転ぶぞ」
『大丈夫だよ、ってうわっ』
案の定、何かにつまずいて転びそうになるけど、ばぁうくんに支えられて転ばずに済んだ。
「ほら、言わんこっちゃねぇ」
『ご、ごめんっ///』
後ろから抱きつく感じで支えられて、すぐ横にばぁうくんの顔があった。
恥ずかしくて離れようとするけど、何故か離してくれないばぁうくん。
『ば、ばぁうくん? 離して欲しいんだけどっ//』
「朝、何話してたんだよ…」
『えっ?///』
「顔、真っ赤にしちゃってさ…」
『〜っ///な、なんでもないよっ』
「ふーん、今も顔、赤いけど?」
『そ、それは…っ///』
ばぁうくんの吐息が、耳にあたってくすぐったいなんて言えるわけもなく、どう言い訳しようか考えていると、いいタイミングで午後の授業が始まるチャイムが始まった。
ふっと、ばぁうくんが離れる。
「ほら、授業行くぞ」
『え?う、うんっ』
私達は、急いで図書室から出て教室へと向かった。
✳︎
放課後。
「リルル、帰ろーぜ」
『あ、えっとごめん、先に帰ってて?』
「あ?なんでだよ」
『ちょっと先生に呼ばれててっ、また明日ねっ』
納得してないような感じだったけど、無理矢理ばぁうくんのお誘いを断ってある場所へと向かった。
『ここでいいのかな?』
そこは誰も使っていない空き教室だった。