第1章 幼なじみ / 甘裏
朝、下駄箱に入っていた手紙。
まさかとは思ったけど内容は、想像通り告白だった。
こんなこと本当にあるんだ、ってびっくりした。
「あ、来てくれたんだね、ごめん待たせちゃったかな」
『い、いえ、大丈夫です』
1年上の先輩で、誰からも慕われていて有名な先輩だった。
「今どきラブレターなんてびっくりしたよね、でも内容に嘘はない。
俺は君のことが好きだ。返事を聞かせて欲しい。」
『…あの、えっと、っ、私は…』
「返事はNO、ですよ、先輩。」
突然声がして、振り返るとばぁうくんが教室の入口で腕を組んで立っていた。
『ば、ばぁうくんっ!?』
「盗み聞きなんて、タチが悪いな」
「先輩こそ、人のものを取るなんてどうかしてますよ」
ばぁうくんは、私に近づいてきて急に抱き寄せた。
「こいつは俺の、なんで」
『えっ、ちょっ、ば、ばぁうくんっ///』
急に抱きしめられて、俺の、って言われて頭が追いついていかない。
「そうか、邪魔したね」
「そそ、二度と近づかないでくださいね」
『もうっ、ばぁうくん!』
先輩は、ふっと笑って教室から出ていった。
『も、もぅ、離してっ///』
「離すわけねぇーだろ」
『えっ//』
ぎゅーっと前から抱きしめられて、切なそうに言うばぁうくん。
「何、勝手に告白受けてんだよ」
『だ、だって、ばぁうくんには関係なーー』
「大ありなんだよっ!!」
『…っ!?』
急に大声で言われてびくっとする。
「…くそっ、ちゃんと用意してたのに台無しだ…」
『…ば、ばぁうくん?』
「好きだ…」
ぽつりと呟くように耳元で言われた言葉。
「俺は、お前が、好きだ…っ
出会った頃からずっと…」
凄く切なそうな声で言うばぁうくん。
『わ、私もーー。』
好きって言おうとしたけど、言えなかった。
ばぁうくんの唇に寄って塞がれていたから。
「はぁ、やわらけーな」
『〜〜っ///』
唇が離れて、視線が交差する。
ニヤッとするばぁうくんに私は顔を赤くすることしか出来なかった。
「今日、俺ん家来いよ、親、いねぇーから」
私は、軽く頷くことしか出来なかった。