第1章 幼なじみ / 甘裏
「リルルー、早くしねぇと遅刻すんぞー」
『うわぁっ もう、勝手に部屋入らないでよっ///』
後ろから急に話しかけてきたのは、幼なじみのばぁうくん。
家が隣同士で、窓と窓の距離が近いから、勝手に部屋に入ってくる。
まぁ、窓の鍵をかけない私も悪いんだけど。
「なら、鍵閉めりゃいいだろ?」
『…うっ//』
「それをしないってことは、期待してんだろ?」
『い、いいから、学校行こっ///』
「くくっ、可愛いやつ」
ばぁうくんはまた、ひょいっと窓から自分の部屋に帰っていった。
その姿がまたかっこよくて、でも同時にいつまでこの関係でいられるのか不安になった。
✳︎
「リルルおはよー!」
『おはよう!三奈ちゃん!』
「いいなーリルルは、また騎士付きで登校なんて♪」
『そ、そんなんじゃないってばっ///』
友達の三奈ちゃん、私の大親友。
「それにしてもこれで付き合ってないなんておかしいよー」
『そんなことないよっ//』
「リルルはさ、付き合いたくないの??」
『…うーん…それは…///』
チラッとばぁうくんを盗み見ると、友達と楽しそうに笑っていて、ふと目が合った。
ニカっと笑うばぁうくんに、私はドキッとして慌てて目を逸らす。
付き合えるなら付き合いたい。
手だって繋ぎたいし、キスとか…それ以上のこととか。
考えるだけで顔が熱くなっていく。
「あー、はいはい、わかったからもういいよw」
『えっ?//』
「何を想像してたのか知らないけど、顔が真っ赤だよ?リルルw」
『〜〜っ///』
「まったく、こんな可愛いリルルをまだほっとくなんて」
『ふふ、でもこのままでいいんだっ』
「…リルル」
告白なんかして断られたりでもしたら。
今のような関係でいられなくなる。
その方がずっとずっと怖い。
そんな考えを遮るかのように、授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。