第7章 からくり人形とヤタカ
母「ヤタカ!!」
ヤタカ「……お母様?…ここは?」
母「家よ。よかった…目を覚ましてくれて。」
ヤタカ「一体何があったのですか?」
父「崖で倒れていたのを通りかかった人が見つけてね。お前…あの人形を探しに出て行っただろ?」
ヤタカ「…人形って何ですか??」
母「あなた何も覚えてないの?気に入っていた人形のこととか。」
ヤタカ「…いや、覚えてません。僕、人形なんて持ってましたっけ?」
父「…覚えてないならいいんだ。どこか痛いところはないか?」
ヤタカ「特には…。ただ、少し寂しいような…。」
母「…きっと疲れているのよ。今日はお母様もお父様も一緒に居るから。ゆっくり休みなさい?」
ヤタカ「はい。」
それからヤタカはリョウコのことを思い出すことはなかった。何故、リョウコとの記憶のみ消えてしまったのかは誰も分からない。
そして100年後、とある骨董品店にリョウコは置かれていた。
女「なんかこの人形まるで本物の人間みたいだね?」
店主「そうなんだよ。見つけた時は本物の人間が倒れてるのかと思ったくらいで。」
女「これは見間違えるわ…。でもなんか幸せそうな顔で笑ってて結構可愛いわね?」
店主「だよな。ここまで本物っぽい人形は気味悪いと思いそうだけど…この人形はそういう嫌な感じはないんだよな。」
女「きっと前の持ち主に凄く可愛がられてたんじゃない?そういえば、これってからくり人形よね??直さないの??」
店主「ん〜色んなところに修理に出したんだけど全然直らなくてな。」
女「そう…。まぁ、このままでも充分人の目を惹くからいいんじゃない?」
店主「そうだな。」
終