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短編(アラタカンガタリ )

第7章 からくり人形とヤタカ


「…ヤタカ様、ダメです。人形なんて愛してはいけません。あなた様は人間なのです。」
ヤタカ「君は人形なんかじゃない。こうして僕のことをちゃんと考えてくれてるじゃないか!ちゃんと人間の心を持っている…。」
「私は人形なのです。……なぜ人形なのでしょう。」
ヤタカ「えっ…。」
「人間だったら私も好きだと言えたのに…。前は自分が人形であることに対して何とも思わなかったのに…。今は人形であることが辛い…。」
リョウコは泣いているような顔をしたが人形なので涙は出ない。
ヤタカ「リョウコ…。君が人形だろうが僕らはずっと一緒だ。」
ヤタカはまた強くリョウコを抱きしめた。
ヤタカ「リョウコ…これ、君に似合うだろうと思って買ってきたんだ…着けてくれないか?」
ヤタカはリョウコに腕輪を渡した。
「こんな立派な物…私なんかが頂いてもよろしいのですか??」
ヤタカ「君だから貰ってほしいんだ。」
「…ありがとうございます。とても嬉しいです。」
リョウコは微笑みながら腕輪を着けた。
ヤタカ「とても似合うよ。」

次の日、ヤタカが外出先から戻るとリョウコが居なくなっていた。
ヤタカ「リョウコ!?どこだ!?そんな…いつも部屋からは出ないのに…。」
父「ヤタカ…。」
ヤタカ「お父様!?」
父「あの人形は捨ててきた。」
ヤタカ「は!?何故ですか!?」
母「最近の貴方はあの人形のせいでおかしくなってたでしょ?だからよ。」
ヤタカ「お母様!?僕はおかしくなんてなってない!!」
父「あの人形を好きだの愛してるだの…おかしいだろ!相手は人形だぞ!?」
ヤタカ「昨日の話聞いてたのですね…。リョウコはただの人形じゃない!!心をちゃんと持ってるんだ!」
父「人形に心なんてあるはずがないだろ!」
母「そうよヤタカ!目を覚まして!」
ヤタカ「ヤダ…僕はリョウコが好きなんだ!!」
母「ヤタカ…。」
ヤタカ「リョウコをどこにやったんだ!?」
父「…あの人形が自分から出て行った。」
ヤタカ「は?」
父「ヤタカを諦めるように話したら自分から出て行ったんだ。」
ヤタカ「そんな…。リョウコっ!!」
ヤタカは部屋を飛び出して行った。
母「ヤタカ!ダメよー!!」
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