第6章 熱に焼かれる
「え、炎柱様‥!どうしてここに‥っというか、恋人?婚約者?って事はもしかして柏木さんって噂の‥炎柱の継子‥?」
村田さんは相当パニックなのか、顔を真っ青にしたまま自問自答している。私はその"噂"が何なのか気にはなったが、それよりも杏寿郎さんの腕から抜け出そうと必死でもがこうとしていた。けれど、残念ながら杏寿郎さんの私を抱きすくめる力の方が圧倒的に強く、びくともしない。
「"噂"が何なのか俺にはわからない!だが正真正銘、この子は俺の継子だ!」
村田さんはその言葉に、顔を更に青くし今にも倒れてしまうんじゃないかと言うほどに見える。
「‥っ杏寿郎さん!離してください‥っ!」
「離さない!今日は連れて帰ると、約束しただろう!」
恥ずかしいやら申し訳ないやらで私の頭はパンク寸前。しかも杏寿郎さんの声が心なしか怒っているようにも聞こえ、この珍妙な状況にとても焦っていた。
「‥っすみません!失礼します!!」
そう言って村田さんは脱兎の如く走り去って行った。
ごめんなさい‥村田さんっ!
私は心の中で必死に謝った。柱が怖い気持ちはわかる。杏寿郎さんや蜜璃ちゃん、そしてしのぶさんはもちろん怖いと思わない。でも他の柱は‥正直言うと怖くてあまり近づきたくない。もちろん尊敬はしているが、それとこれとは全く別だ。
私を抱きすくめていた杏寿郎さんの力が抜け、今だ!と思い脱出を試みた。
「‥っやだやだ!降ろしてくださいっ!」
「断る!」
杏寿郎さんはヒョイっと私の身体を持ち上げたかと思うとそのまま肩に担いだ。痛いし苦しいし、なによりも恥ずかしい。杏寿郎さんはその状態のままズンズンとどこかへ向かい歩いて行く。残念ながら私は進行方向とは逆を向いているのでどこに向かっているかわからない。
けれど後ろへ流れて行く風景から、どこへ向かっているかわかってしまった。
「‥杏寿郎さん!お願いだから降ろしてっ!」
これは間違いなくしのぶさんの部屋に向かっている。
「断ると言っただろう!少し大人しくしていなさい!」
あっという間に部屋にの前に着いてしまい、杏寿郎さんは「失礼!胡蝶はいるか!」っと返事を聞くまえに扉を開く。
「煉獄さん。ここには療養中の隊士が沢山いるので静かにしてもらえる様いつもお願いしていますよね?それに返事をする前に扉を開けるのはやめて下さい」
