第6章 熱に焼かれる
翌朝私は朝食の準備の手伝いを済ませ、大量の洗濯物を干していた。食事の準備や洗濯も、療養している隊士全員分となるとかなりの重労働だ。これを毎日蝶屋敷の子達だけでこなしているのだから頭が下がる。
シーツをピンと伸ばしながら物干し竿に丁寧に干していく。干す枚数が増えるにつれ不思議と達成感を感じる。最後の1枚を干し終え、やり切った気持ちと共にシーツがはためく姿をしばらく見ていた。
「ねぇ!君!」
はて。ここにいるのは私しかいない。と言うことは呼ばれているのは私か。呼ばれた方向へと振り返ると、そこにはどこか見覚えのある姿。
「君、もしかして柏木さんじゃないか!?俺だよ俺!村田だよ!」
そうだ。この見覚えのあるサラサラヘアーはあの時私を助けてくれた村田さんだ。
「っ村田さん!まさかまた会えるなんて!」
「ははっ!なんとかしぶとく生き残ってるよ!君こそ元気そうでよかった。ずっとどうなったか気になっていたんだ」
「お陰様でなんとかやっています!」
「蝶屋敷にいるの?俺ちょこちょこお世話になってるけど、君に会えたの初めてだよね?」
「違うんです。昨日今日、訳あってここでお世話になっているだけで‥」
あまり詳しく事情を話すこともできないので、かなり濁した返事になってしまったが、村田さんがそれ以上突っ込んでくることはなかった。
「そうかなのか!いやぁ!会えて本当に嬉しいよ!まだこれから仕事があるのか?」
「いいえ。今日はもう手伝いは良いと言われているので‥」
それを聞いた村田さんの顔がパッと明るくなる。
「じゃあさ!良かったら昼ごはんでも一緒にどう?いろいろ話も聞きたいしさ!」
‥まずい。誘われてしまった。村田さんは私を鬼殺隊に導いてくれた恩人だ。無碍にはできない。かと言って杏寿郎さん以外の男性と2人でご飯に行くことは‥出来ればしたくない。考えた末、やはり恩人は無碍にするわけにはいかないと結論に至った私は、村田さんに誘いを受ける返事をしようとした。
「では‥っ」
フワリと香る大好きな匂い。私を身体を拘束する逞しい腕。背中に感じる温かな温もり。
気づくと私は杏寿郎さんに背後から抱きすくめられていた。
「すまないがこの子は俺の恋人で婚約者だ。食事に誘うのは遠慮してもらいたい」
突然の杏寿郎さんの登場に、村田さんの顔は真っ青になる。
