第5章 隠せない隠さない
あの後無事目覚めた師範はしばらく蝶屋敷で療養する事を勧められたが、治療を終えると家族の待つ家に帰ると言い松葉杖と三角巾姿で煉獄家へと戻った。
外で掃き掃除をしていた千寿郎さんが、泣きながら私たち3人を迎えてくれた。
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あんなに重傷だったのに何故?
そう思ってしまうほど師範はあっという間に回復した。私の方が全然軽症だったはずなのに、回復するタイミングが同じとはどう言うことだろうか。そんな師範は柱合会議に出かけている。今度は正式に、炎柱として。私は1人鍛錬しながらその戻りを待っていた。
師範は炎柱になった。これからきっと今までより更に厳しい任務に就くことになるだろう。だから私も、そんな師範の弟子として恥ずかしくないようにより精進しないと。
あれ?今更だけど私‥師範の継子って事になるのかな?
柱の弟子、と言うことは継子で良いはず。でもその"継子"と言う言葉の重みになんだか身震いした。
「今戻った!」
師範の声が聞こえ、私は出迎えるため木刀片手に門の方へ向かった。
「師範!お帰りなさい!柱合会議はどうでしたか?」
「うむ!お館様より炎柱として力を尽くすよう仰せつかった!」
「おめでとうございます!私‥なんだか自分の事のように嬉しいです!」
だって私は、師範が努力している姿を誰よりも側で見ていた。傷だらけになり、時には心を痛めながら、その健全な精神で前だけを見ていた。そんな師範の努力が、ようやく報われたんだ。
「ありがとう!柏木も俺の継子として、改めてよろしく頼む!」
「‥良いんですか?」
「む?何がだ?」
「私、師範の継子で‥良いんですか?」
「何を言っている!当たり前だろう!」
その"当たり前"が凄く嬉しいと思った。
「‥ありがとうございます」
継子であれば、今後は基本的には師範と任務を共に出来る。それがとても嬉しかった。
「うむ!俺はこれから父上に報告に行ってくる!」
「‥そうですか。では私は鍛錬に戻ります」
「君も病み上がりだろう!ほどほどにな!」
そう言って師範は炎柱様‥ではもうないか槇寿朗様のお部屋へと向かって行った。
大丈夫だろうか。槇寿郎様はきっと‥喜んではくれないと思う。だって槇寿郎様は誰よりも師範を失う事を恐れていると‥私にはそう見えたから。