第5章 隠せない隠さない
「はい。柏木です。爆弾ももう心配ありません。‥師範はもう‥休んでください」
師範は一度だけ私をぎゅっと抱きしめるとそのまま気を失ってしまった。鍛えているとはいえ、やはり体格の良い男性はなかなかの重量で自分の身体が傾く。私が知っている人間の中で1番強いのは師範だ。炎柱様はもしかしたら師範よりも強いのかもしれないけど、剣を握っているところを一度も見れていないのでわからない。あんなに強い師範がこんなにボロボロになるなんて。もし自分が1人の時に十二鬼月と戦うことになったら、きっと勝ち目はないだろう。思わず師範を抱きとめた腕に力が入る。
「柏木さん、煉獄様をこちらに」
「あ!はい!すみません」
師範を医療班に引き渡そうと移動する。そして師範の身体をその腕に預けようとした。待ち受けていた医療班も受け取る気満々だった。けれど師範が私から離れない。先程の蜜璃ちゃんのように医療班が引き離そうとするが、師範の手は私の羽織を握りしめていた。
やだ‥子供みたいでかわいい。蜜璃ちゃんじゃないけど私の周りにはきっとキュンっとハートが飛んでいたであろう。
「離してくれそうにないですね‥。柏木さん、すみませんが羽織を脱いでもらってもよろしいでしょうか?」
「わかりました。少々お待ちください」
いそいそと羽織を脱ぎ、脱ぎ終えるとすぐ師範と共に私の羽織は蝶屋敷へと急ぎ運ばれて行った。
「では柏木さんも、応急処置をしますのでこちらへ。それが済んだら蝶屋敷へ共に向かいましょう」
「ありがとうございます」
そういえばと自分も結構なボロボロ具合だったことを思い出す。座って応急処置を受けていると、先に応急処置を終えた蜜璃ちゃんがこちらへとやってきた。
「ナオちゃん!さっきはありがとう!ナオちゃんが蜜璃ちゃんなら出来るって言ってくれたから、私とっても勇気が湧いたの!それにね、なんだか呼吸のコツ?って言うのかしら‥何か掴めたような気がするの!」
「こちらこそ。蜜璃ちゃんが頑張ってたから私も頑張ることができた‥。これからも一緒に頑張ろうね」
「もちろんよ!ナオちゃん大好き!」
「私も蜜璃ちゃんが大好きよ」
ギュッとお疲れ様のハグを交わし、私と蜜璃ちゃんは隠と共に蝶屋敷へと向かった。