第5章 隠せない隠さない
先程の失態が頭をよぎり、重要な任務の前に休息をとっておく必要があると判断し、私は師範と蜜璃ちゃんに挨拶を済ませ自室へと向かった。
十二鬼月を倒したら師範は柱になる。師範はずっと‥ずっと一人でその目標のために努力してきたんだ。だから師範がその思いを遂げられるように、私は自分のやるべきことをやるんだ。キツく巻き上げた髪をおろし、仮眠のためしまっていた布団を引っ張りその上に横たわる。
「悪いんだけど一刻過ぎたらに起こしてくれないかな?」
「カァ!わかった!早く寝ろ!」
「うん。‥おやすみ」
相棒に起こしてもらえるようお願いし、寝不足と鍛錬の疲れもあり私はあっという間に眠りの世界に落ちた。
「柏木!柏木!そろそろ起きろ」
遠くで師範の声が聞こえる気がする。あぁ。この声がとっても好き。ずっと聞いてられる‥。
「柏木!!」
浮上しかける意識の中で、優しく身体を揺すられているのを感じる。
‥揺すられている?
急激に意識が浮上し、バッと慌てて身体を起こす。身体を起こした先には師範がいた。凄く距離が近い。私を起こすために近くにいたと思われる師範の顔が自分の顔のすぐ前にある。私は目が飛び出るんじゃないかと言うほど目を見開いてしまった。
「すまない!声を掛けたが起きそうになかったので勝手に入らせてもらった!」
「‥私の‥烏は‥?」
「あの子なら呼び出されたようで出て行ってしまった!だから俺が代わりに君を起こすよう頼まれた!」
そんなまさか。せめて千寿郎さんに頼んで欲しかった。
「それにしても柏木は鍛錬や任務時は警戒心がとても強いように思うが、そうじゃない時は気を抜き過ぎだな!」
「‥メリハリがある‥と言っていただけないでしょうか‥」
いや、それよりも早く離れてはくれないだろうか。ドキドキし過ぎて心臓が破裂しそうだ。
「‥し、師範‥そろそろ‥離れていただけると‥嬉しいのですが」
「すまん!ついな!」
師範はそういうと、ニコリと微笑み離れていった。正直言うと少し離れがたかったが。
「‥師範。今回の特別任務が終わったら‥私の話を聞いてもらえませんか?」
「奇遇だな!俺も君と話がしたいと思っていた!」
もう迷わない。
「じゃあ‥必ず、十二鬼月を倒しましょう!」
そして師範に気持ちを伝えるんだ。