第5章 隠せない隠さない
「煉獄さん‥大丈夫かしら?」
「‥師範ならきっと大丈夫だよ」
大丈夫じゃなかったとしても、きっとそんな素振りを見せてくれることはきっとない。それを見せてもらえるような、師範にとってそんな存在になりたいと心から思う。
「折角蜜璃さんに来ていただいたのに‥こんなことになってしまいすみません」
「そんな!千寿郎くんが謝ることじゃないわ!稽古は付けてもらえたし、おやつも羽織も頂いちゃって‥すごく楽しかったわ!」
「そうだよ。‥心配しててもしょうがないし、残ってるおやつ食べながら師範を待とうか」
「そうですね。あ!このさつま芋と小豆の煮物の作り方教えていただいても良いでしょうか?」
「もちろん!」
千寿郎さんに作り方を教え終わる頃、師範は隊服姿で戻ってきた。
「あら?煉獄さん今日は任務はないって言ってなかったかしら?」
「師範‥わざわざ隊服に着替えたってことはもしかして‥」
「うむ!父上の代わりに柱合会議に行く!すまないが今日の稽古はこれで終いだ!」
そのまさかだった。
「でもでも柱合会議って柱しか出れないのよね?煉獄さんが突然行って大丈夫なのかしら?」
「父上が行かないと言っているんだ!仕方あるまい!」
正直言うと私はものすごく心配だ。私にとって師範は剣士としても人としても最高のお方だ。でも、弟子になりたての頃はたまに‥いやわりと頻繁に、考えかがずれていると言うか話が通じないと思うことがあった。弟子として長く一緒の時間を過ごした今なら、師範の頭の回転が早すぎて周りが着いて行けていないだけと言うこともわかっている。でも初対面だと思われる柱の方々はきっとそうも行かない。
「あの‥くれぐれもお気を付けて」
何をとは言えないが。
「うむ!では行ってくる!」
そう言って師範は猛スピードで会議に行ってしまった。
再び残された私達3人。
「煉獄さん行っちゃったわね。もう少しお話ししたかったけど‥あっ!お話と言えばナオちゃん!ナオちゃんのお話を聞かせて頂戴!」
さっきまでの雰囲気はどこへやら、蜜璃ちゃんは興奮気味に聞いてくる。
「じゃあ僕は片付けに行きますので。蜜璃さん、ごゆっくりしていって下さい」
「ありがとう!お言葉に甘えさせていただくわ!」
気を遣ってくれたのか、千寿郎さんは空になったお皿を持って行ってしまった。
