第5章 隠せない隠さない
「これは‥!ナオちゃん!覚えててくれたのねー!私ずっと、ずっとこれが食べたかったのー!」
そう言って喜んでくれた蜜璃ちゃんに、思わず笑みが溢れる。
「ふふふ。私もずっと蜜璃ちゃんに食べさせてあげたかったの」
「僕も先程頂いたのですが、すごく美味しかったです!後で作り方を教えてください」
「千寿郎さんには簡単すぎるくらいだと思いますが‥後で一緒に作りましょう」
心から作って良かったと思う。チラリと師範の方を盗み見ると、無言でパクパクと食べ続けていた。
あれ?昨日は美味しいって言ってくれたけど今日はそうでもないのかな?
何も言わない師範に少し心配になる。だけど
「わっしょい!」
空になったお皿を置き、一拍置いてから放たれたわっしょいにホッとする。
「スイートポテトに桜餅にナオちゃんの煮物!今日は本当に来て良かったわ」
そう言ってうっとりする蜜璃ちゃんを見ているだけで、こちらも幸だ。
「そうだ!千寿郎あれを!」
千寿郎さんが師範に言われ持ってきた箱には、新しい羽織が入っていた。
「この羽織‥」
「仕立てに時間が掛かってしまった。遅くなったが鬼殺隊士になったお祝いだ!」
それは師範とお揃いのもので、蜜璃ちゃんが鬼殺隊士になったお祝いの品だと言うのに、私はその羽織が羨ましいと思ってしまった。私は師範に弟子入りする前から鬼殺隊士だったし、羽織も持っていた。だからお揃いの羽織を送られる機会も、理由もない。でも自分が師範とお揃いの羽織を身につける姿を想像し、自分も欲しいと思ってしまった。
「‥柏木も欲しいか?」
そんな心を師範にばっちり見透かされてしまう。
「っいえ!そんな!滅相もございません!」
必死に否定しすぎて逆に肯定しているように聞こえただろう。
「遠慮することない!そう言えば階級を上げたと言うのに君には何もお祝いをあげていなかった!同じ羽織でよければすぐに仕立ててもらおう!」
「私も!ナオちゃんともお揃いなんてもっと嬉しいわ!」
「いえ!そんな‥申し訳ないので!」
「申し訳ないことはない!千寿郎!すぐに手配を!」
「お任せください!」
私が懸命に否定しているのにも関わらず、話はどんどん進んでしまう。これはまずい。
「あの!っお揃いなら‥師範のお下がりをくれませんか!?」