第4章 赤く赤く
私のその言葉を聞いた師範は一瞬固まり、その後ボッと火がついたように顔が赤くなった。
まてよ。さっき言った私の言葉。正直な私の気持ちである。でも‥一歩間違えればまるで愛の告白のようではないか。あながち間違いではないが。顔が沸騰したように一瞬で熱くなる。
「いや!あの!今のは弟子としてという意味で‥!」
真っ赤な顔でブンブン腕を振りながら否定して、言い訳しているのが丸わかりではないか。でも今師範に私の恋心を知られるわけにはいかない。それこそ今度は弟子を首になるかもしれない。師範の顔が赤くなっのはほんの一瞬のことですぐにいつもの様子に戻った。
「うむ!あまりにも熱烈だったものでな!あれでは愛の告白と勘違いされてしまう!他の者に言うときは勘違いされないよう充分気をつけるように!」
その声はいつもより更に大きくて、顔色は戻っても多少動揺してくれていることが見てとれ、真剣な話をしている時に不謹慎とは思ったが嬉しかった。だいたい師範以外とこんな話をすることは絶対にないだろうが。
「‥はい。わかりました」
伝わって欲しいのに伝わって欲しくない。恋って難儀なものだ。
「うむ!ではこの話はもう終いだ!千寿郎も間も無く戻ってくるだろう!着替えを持ってきた!湯が沸いたら湯浴みをしてこれに着替えなさい」
そう言って渡されたのは上質そうな着物。そう言えば朧げながらも、炎柱様が奥様の着物を貸すように師範に言ったいたような‥
「待ってください!そんな大切なものをお借りするわけにはいきません!それは‥お母様の大切な形見ですよね!?私なんかがお借りできません!」
「いや、父上が良いと言ったのだから良いんだ。それに着物はまだ何枚もある。箪笥の肥やしにされるよりも、こうして誰かに着てもらえる方が母上も喜ぶ」
そうは言っても。そこは私も譲れない。
「私はいつもの道着をお借りできればそれで構いません!着物ではなく道着を貸して下さい!」
「だが道着では寝苦しい!」
「そもそも!煉獄家に泊まるなんて無理です!私はもう大丈夫なので帰ります!そうすれば着物をお借りする必要もありません!」
「その話はもう済んだだろう!父上のご指示だ!柏木は今日ここに泊まる!着物も着る!部屋はここを使え!」
「もう!話を聞いてください!」
「君こそ言うことを聞きなさい!」
