第4章 赤く赤く
「兄上、それは僕ではなくナオさんが作ってくれたものです」
「よもや!柏木が作ったのか!」
あれだけわっしょい言いながら食べてくれていたのだから、不味かったということはないだろうが作ったのが私だと知った時の師範の反応が怖かった。
「はい‥どうでしたか‥?」
私にとって家族以外のために作る初めての料理。
「うむ!とても美味しかった!千寿郎が作ったものとは少し違うがまろやかさがありそれもまた良い!ぜひまた食べたい!」
あまりのそのまっすぐな褒め言葉に、もう何度目かわからない頬が熱くなる感覚がする。
「‥ありがとう‥ございます。是非また‥作らせてください」
千寿郎さんはそんな私たちを微笑ましげに見ていた。
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「それではこれで失礼します」
片付けを終えようやく煉獄家を後にする。こんなに長居してしまったのは初めてだ。明日は任務がある、だから早く帰って寝なくては。見送りに出てきてくれた師範と千寿郎さんに頭を下げる。
「では千寿郎、行ってくる!」
「はい。お気をつけて」
はて?師範はこれから任務でもあるのだろうか?そんな話はしていなかった気がするが。呆けている私を追い抜き、師範は出て行ってしまった。
「どうした柏木!置いていってしまうぞ!」
そう振り返る師範に訳もわからず慌てて着いていく。
「師範!待って下さい!どこに行くんですか!?」
そう問う私に師範はさも不思議そうな顔でこちらを見てくる。
「何を言っている?君の家に決まっているだろう?」
「え!?私の家!?何でですか!?」
「なんでも何も夜道を女性が1人で歩くのは危険だ!俺が送る!」
え!?家まで!?私を送る!?危険だから!?
「意味がわかりません!私鬼殺隊の隊士ですよ!師範の弟子ですよ!夜道なんてひとりで平気です!」
鬼が出ても自分で対処できるくらいの力はある。そもそもそうでなくては一隊士として恥ずかしい。
「うむ!確かに君は強い!だがそういう問題ではない!」
じゃあどういう問題だ。話が通じず若干イラついてくる。
「女性であれば、鬼以外にも夜道で危険なものはある!だから俺が家まで無事送り届ける!」
「そんなのいりません!それよりも師範は少しでも長く体を休めて下さい!」