第13章 暖かく和やかに
「煉獄さーん。おはようございます」
気づくと朝を迎えており、我ながら驚愕した。検温をしていると、栄養たっぷりな朝食が運ばれてきて、その美味しそうな香りに私のお腹が"ぐうぅー"となんとも間抜けな音を出す。
「ふふっ。いっぱい食べて下さいね」
「…すみません」
助産師さんに笑われて、私の頬にはかぁっと熱が集まった。
「9時になったら赤ちゃんを連れてくるので、それまではゆっくり過ごして下さい。その時にミルクのあげかた、授乳の仕方、オムツの替え方等説明させてもらいますので心の準備はしておいてくださいね」
「はい。よろしくお願いします」
いよいよ、赤ちゃんとの同室が始まる。期待と不安で私の胸はドキドキと高鳴っていた。
「ずっと見ていられる」
なんとかミルクも授乳も、そしてオムツ替えも指導してもらった通りにこなし、それ以外の時は私はひたすら赤ちゃんの顔を眺めていた。流石杏寿郎さんとの子とでも言うべきか、こちらが心配になる程よく寝てくれて、なんなら無理矢理起こさないとひたすら寝ている。その寝顔の可愛さと言ったらもう悶絶してしまいたくなる程で
「…かわいい」
と5分に1回は言っていたのではないかと思う。そうしているとびっくりする位時間は早く過ぎていき、さっき食べたばかりな気がするのにあっという間にお昼ご飯が運ばれてきて、時計を見るともう12時を回るところだった。
杏寿郎さん、そろそろ来てくれないかな。今朝届いたメッセージには、お昼過ぎには来てくれるって連絡が入ってたんだけどなぁ。
そんな事を考えたいると
ブーッブーッブーッ
とスマートフォンが震え出した。慌ててスマートフォンを取り画面を見ると
杏寿郎さん
の文字が。私は待ちに待った杏寿郎さんからの着信に、頬を緩ませながら応答ボタンをタップした。
「杏寿郎さん!連絡待っていました!」
"おはよう。連絡が遅くなりすまない。これから皆でそちらに向かおうと思っているのだが問題ないだろうか?"
「はい。大丈夫です。もぅ赤ちゃんが可愛くて可愛くて…早く皆さんにお顔を見てもらいたいです」
"そうか!俺も一刻も早くそちらに行きたい!30分もしないうちにそちらに着く"
「わかりました。気をつけてきてくださいね」
"うむ!ではまた、駐車場についたらメッセージを入れる"