第13章 暖かく和やかに
「ご馳走様でした」
ご飯を食べ終え、お皿を洗っていると
「…っん?」
キューッとお腹が張り出した。けれども、最近はそんなことも割と普通なことで、初めてそれを感じた時はとても焦ったが、収まってからインターネットで検索すると"前駆陣痛"と言うものだと分かりそこまで心配いらない事がわかった。
「流石に雑巾掛け頑張りすぎたかな?窮屈な思いさせてごめんねぇ」
そう言いながらお腹を撫で、横になって休憩でもしようと杏寿郎さんと私の部屋へと向かった。
畳んでいた布団を開き、流石に雑巾掛けをした格好で布団に横たわるのは汚いなと思い服を着替え、タオルケットを敷き杏寿郎さんがいつも着ているカーディガンを身に纏いその上にゴロンと横になった。
寝て起きれば、いつもみたいに収まるか。
そう思いながら目をつぶると、私の意識はあっという間に眠りの世界へと沈んで行った。
「……ん…」
下半身に感じる違和感で目が覚めた。半分寝ぼけながら身体を起こすと、再び感じるキューッというお腹の張り。
いつもなら、お腹の張りを感じても少し休めば収まっていたはず。
…もしかして…これって陣痛…?
けれどもつい一昨日健診でもう少し先になるだろうと言われたばかりだ。それに、今日に限って誰も家にはおらず、正直今陣痛が来てしまうのは非常に不安だし困る。
違うよね?まさか…今日に限って陣痛が来るとか…ないよね?
そう自分に言い聞かせ、お腹の張りがおさまったタイミングで再び横になり、もう一度寝てしまおうと目をつぶった。
けれどもまた眠りに落ちそうになった時、キューッとお腹が再び張り出す。それでもまだイヤイヤまさかと言う気持ちが勝り、張りがおさまったタイミングで再び目をつぶる。
違う違う違う。
そうやって現実逃避を続けること1時間。
「…っどうしよう!陣痛だ!」
何度目かになるお腹の張りで、私はとうとう現実を受け止めるしかなくなった。
病院…に連絡するのはまだ早いよね?出るかわからないけど…一度杏寿郎さんに電話をかけてみよう。
スマートフォンを持ち、電話マークをタップし、よく使う項目から"杏寿郎さん"の名前を選択する。
プップップ…プルルルルル…プルルルルル
呼び出し音がしばらく続いた後
"ただいま電話に出ることが出来ません"
予想通り、杏寿郎さんは電話に出ない。
