第13章 暖かく和やかに
「今日は父上も母上も夫婦で会合に呼ばれ遅くまで帰らない。俺も授業の他に武道館の改装打ち合わせがある故恐らく連絡が取れない。1人で大丈夫か?」
「はい。一昨日の健診で赤ちゃんの大きさは2800g位にはなっているようでしたけど、子宮口はまだ柔らかくなっていないから産まれるのはもう少し先だろうと先生が言ってました。だから恐らく心配はないかと思います」
はち切れてしまうんではないかと思う程に大きくなったお腹を撫でると、ボコンっとお腹の中で赤ちゃんが大きく動き
「…ゔっ」
と変な声が出てしまった。
「こらこら、ナオに痛い事をするのはやめなさい」
そう言いながら杏寿郎さんが私のお腹に手を添え優しく撫でると、まるで返事をするかのようにもう一度ボコンっと大きく蹴られる。
「…ぐっ」
「うむ!元気だな!」
「元気すぎて…困ってしまいます。最近は夜寝ていても胎動で起こされてしまうので…早く出てきて欲しいものです」
「そうだな。俺も早くこの子に会いたい!だが、是非とも俺が出産に立ち合える日を選んで出てくるんだぞ?」
杏寿郎さんはそう言いながらもう一度私のお腹を優しく撫で、
「では行ってくる」
と靴を履き、クルリと振り返ると私の唇に
ちゅぅ
っと優しく口付けを落とした。
「いってらっしゃい杏寿郎さん。早く帰ってきて下さいね」
私が手を振りそう言うと
「うむ!なるべく早く帰る」
と優しい笑みを私に向け家を出発した。
玄関が閉まり、杏寿郎さんの気配が完全になくなったのを確認した私は
「さて、雑巾掛けでもしようかな」
浴室のそばに位置する物置に向かい、この間買ってきた雑巾を出す。次にバケツに水を溜め、雑巾を突っ込みたっぷりと水に濡らしギュッと絞った。
「ピカピカにするぞー!」
出産への体力作り、また体重増加防止のために、私は煉獄家の長い廊下の雑巾掛けを開始した。
休み休みやったとは言え、流石に煉獄家中の廊下を雑巾掛けするのはとても疲れる。気づくと雑巾掛けを開始してから2時間以上経過しており、まだ11時前だと言うのに私の腹の虫はグーグーと騒ぎ始めた。
「少し早いけど…ご飯食べようかな」
杏寿郎さんのために作ったさつまいもの炊き込みご飯の残りと、昨日瑠火さんが私のためにと多めに作ってくれた煮物を温め直し早めのお昼ご飯を取る。
