第13章 暖かく和やかに
「そう言えばずっと気になっていたんですけど、宇髄様は今も3人の奥様方と暮らしてるんですよね?」
「当たり前だろ。あいつらは全員俺の大事な嫁だ」
「もちろんそれは十分分かっています!でも…法律的にそれって可能なんですか?」
「それはだなぁ」
「…それは?」
「秘密だ!」
「えー!そこまで勿体ぶっておいて酷いです!」
「知りたかったら今度うちに遊びに来い。嫁達みんなお前に会いたがってたぜ」
「わぁ!私も会いたいです!是非お邪魔させてください!ね、杏寿郎さん」
「む?俺もか?」
「はい!一緒に行きましょう」
「ほら。喋ってねぇでさっさと降りろォ」
杏寿郎さんはシートベルトを取り、姿勢を正すと
「今日は本当にすまなかった。宇髄と不死川がいなかったら、俺は今もナオを探してそこら中を駆け回っていただろう」
「んなこたぁ別に構わねぇよ。だがな、さっきも言ったがあんまり柏木を困らせるんじゃねぇぞ?」
「ああ。分かっている」
「どうだかなァ。ほら、さっさと行け。もう夜は肌寒い。妊婦が身体を冷やすんじゃねェ」
不死川様はぶっきらぼうな物言いだが、その内容は私を気遣うものばかりで、相変わらずの優しさに私の口元は自然と緩んでしまう。
「なぁにニヤニヤしてんだよ」
「ふふっ。なんでもありません。送って頂きありがとうございました」
「気をつけて帰ってくれ」
「おう。じゃあなァ」
最後にもう一度不死川様にお礼を述べ、杏寿郎さんと私は車を降りた。杏寿郎さんが車のドアを閉めると、ゆっくりとその車体が動き出し段々とその姿は小さくなりやがて見えなくなった。
「…行ってしまいましたね」
「あぁ。そうだな」
「杏寿郎さん、カナエさんに私の居場所を聞いたんですか?」
「いいや。俺は胡蝶先生の連絡先は知らない」
「え?じゃあどうしてカナエさんの家に…?迎えにきてくれる前、一体どこで何をしていたんです?」
私がそう聞くと、杏寿郎さんは恥ずかしそうにその頬を人差し指で掻きながら、あの場に迎えに現れるまでの経緯を教えてくれた。
「家に帰った俺は母上からナオが帰らない事を聞き、居場所を教えるようお願いしたのだが、知っての通り断られてしまってな。母上と千寿郎に説教され、心配ないから家にいろと言う言葉を無視し君を探しに出た」