第13章 暖かく和やかに
蜜璃ちゃんの視線が私のボストンバックに向く。しのぶさんとカナエさんも同じように私のボストンバックを見ている。
「…実は…家出して来たんです」
えへ
なんて可愛く首を傾げてみたが
「え?」
「はい?」
「家出?」
と三者三様の反応に、私の顔からは苦笑いが溢れる。
「煉獄さんと何かあったんですか?」
一番最初に我に帰ったのはしのぶさんだ。
本当はあまり心配をかけたくなくて、黙っていようと思っていた。けれども3人の顔を見ていると、つい甘えたくなってしまう。
「…喧嘩、してしまったんです」
"俺がいつそんな事を言った"
今朝の杏寿郎さんの大声が頭によぎる。
「それで家出?ナオさんと煉獄先生が喧嘩なんて珍しいわね。煉獄先生のご家族はその事をご存知なの?」
「はい。家出は…瑠火さんからの提案ですので、その辺りは心配ありません」
「お義母さん公認の家出なんて、なんだか不思議だわ」
「煉獄さんはナオさんの家出を把握しているんですか?」
「…恐らく」
「恐らくって…連絡は来ていないのですか?」
「杏寿郎さんからの連絡は通知OFFにしてしまって…着信も…拒否してしまいました。今は電源も切っています」
「「「あらぁ…」」」
「…やっぱり、まずいですかね?」
「煉獄さんすごく心配してるんじゃ…一度電源を入れてみたらどうかしら?」
蜜璃ちゃんの言葉に、しのぶさんとカナエさんも同意するように頷いている。私は鞄の底に押し込んだスマートフォンをゴソゴソと取り出し、じっと真っ暗になっている画面を睨む。
「私達と一緒にいるうちに確認した方が、ダメージは少ないと思いますよ?」
「……確かに。それでは、電源を入れます」
右側にある小さなボタンを長押しすると、パッと白い画面が浮かび上がる。その内いつものホーム画面に戻り、メッセージアプリと着信部分が目に入ると
「…うわぁ…」
私のその反応に、蜜璃ちゃん、しのぶさん、カナエさんも画面を覗き込む。
未読メッセージ5件。それはまぁ良い。
不在着信22件。
うち12時05分から12時10分の間に12件。
その他14時43分から14時47分の間に10件。