第13章 暖かく和やかに
お礼を言おうと私の腕を掴んでいる手の持ち主に目を向けると
「大丈夫かァ?」
「…っ不死川様」
私を心配気に見る、不死川様の姿がそこにあった。私がポカンと不死川様を見ていると、不死川様は後ろを振り向き
「おい玄弥ァ。ちょっとこいつ見ててくれェ」
と、一緒に来ていたと思われる玄弥くんを呼び寄せ、玄弥くんが私の隣に辿り着いたのを確認するや否や
「…クッソ餓鬼がァ!」
鬼の形相で未だに店内で追いかけっこをしている2人を捕まえに行った。
「腕…と、腹。大丈夫っすか?」
安心からか未だに動けずにいた私の顔を、そのぶっきらぼうな言い方とは相反して、玄弥くんが心配気に覗き込む。その顔は、先程の不死川様のそれととてもよく似ていた。
「…うん。お陰様で…大丈夫」
そうは言ったものの、私の身体は小刻みに震えていた。私は自分を落ち着かせる為、そしてお腹の子の無事を確かめるように、ぽっこりと出たお腹を繰り返し撫でた。
不死川様によって捕まえられた2人の男児は、不死川様にこってり絞られたのか顔を青くしながら涙目で私に謝罪をしてきた。その様子があまりにも哀れで、
"このお兄さん達が助けてくれたから大丈夫。でももうお店の中を走り回ったりしたらダメだよ"
と私が言うと
""はい。もう絶対にしません!""
と声を揃えて返事をしてくれたのだった。
その後は、心配だからと言う不死川様と玄弥くんに送られて駐車場まで一緒に行った。
「腕、強く掴んじまって悪かったなァ」
「そんな!不死川様のお陰で転ばずに済んだんです!私がお礼を言うことはあっても、謝られる事なんてありません!腕も全然痛くありません!」
「そうかァ。なら良いんだが。帰ったらちゃんとさっきの事、煉獄に話するんだぞォ」
「はい。不死川様、玄弥くん。本当にありがとうございました」
「おう。運転気をつけて帰れェ」
そう言って、不死川様は私に背を向けなら手を振り、少し照れながら私の方に会釈をしてくれた玄弥くんと共に来た道を戻って行った。
家に着き、瑠火さんに頼まれまたお醤油を渡し、杏寿郎さんと私の部屋に着くと、安心からかどっと疲れが押し寄せてきた。仕事用の鞄を自分の棚に置き、ノロノロと部屋着に着替える。けれどもすぐに居間に行く気にはどうしてもなれず、私は杏寿郎さんがいつも座っている座卓に腰掛けた。
