第4章 赤く赤く
「頭を下げてもらうことなんてないんです。‥むしろ私が頭を下げて御礼を言いたいくらいなんです」
私の言葉を聞いた千寿郎さんがこちらを見る。
「今まで極力人との関わりを深く持たないようにしてきました。だから剣士として中々伸びないし‥自分の仇うちばかり考えていたからそうなってしまうのも当然のことだったんです。でも師範に弟子にと誘ってもらえて、これからは今までとは違う気持ちで鬼殺に当たることができるような気がするんです。だから‥お礼を言うべきは私の方なんです」
千寿郎さんは私の長い話をじっと聞いていてくれた。兄弟揃ってなんて素敵な方達なんだろう。
「では‥お互い様ということですね」
「はい!そういうことですね」
道端で微笑み合う私達は、側から見たら奇妙な2人だったろうがそんなの全然気にならなかった。
「では、兄上が心配するのでそろそろ戻ります。また明日お待ちしていますね」
「はい!あ、でももし急な指令が来てしまうといけなくなってしまうのですが‥」
退院したばかりだし、流石にまだ来ないと思いたい。
「私もまた明日千寿郎さんに会えるのを楽しみにしてます」
今度こそ千寿郎さんと別れ小間物屋へと向かう。
気に入った食器を3つと炊事道具。着替えも少し増やしたほうが良いかと思い数着買い足す。あとは寝具も買ったほうが良さそうか。なんだかんだで思ったよりもたくさん買ってしまい沢山の荷物を抱え長屋へと到着した。それは煉獄家から本当近い場所に存在し、これなら通いやすいと安心する。そしてなによりきちんと管理がされていたのか想像していたよりもずっときれいで驚いた。
持っていた荷物をドスンと置き、これからお世話になる我が家をぐるりと見渡す。
「‥私1人で住むには‥ちょっと広すぎるかな‥」
そんな呟きを聞いていたのかいなかったのか、いつのまにか中に入ってきていた相棒がカァとひと鳴きする。
「腹減った。何か食べたい」
「そうだね。何か買いに行かなきゃ」
そこではたと思い出す。
「そう言えばあなたに金平糖を買ってあげるって師範と話をしたんだった!改めて、あの時は師範を連れてきてくれてありがとう。お陰で私の命は助かったし、師範に弟子入りすることができたの。みんなあなたのお陰」
そう言って相棒を抱き上げると満更でもなさそうな顔をしていた。