第13章 暖かく和やかに
「…おじ…さん?」
「うむ!おじさんだ!千寿郎は優しく面倒見も良い。きっと良いおじさんになる」
そんな杏寿郎さんの言葉に、千寿郎さんはゆっくりと杏寿郎さんの方を見る。
「…本当…ですか?」
「本当だ!予定日は11月20日だ」
「…っ!」
千寿郎さんはようやく自分の中で杏寿郎さんと私の話を処理できたようでパーっと顔を輝かせ
「っやったー!」
と珍しく大声を出し、椅子から勢いよく立ち上がった。その様子が普段の大人びた千寿郎さんとは違い、年相応に見えて私の頬は勝手に緩んでしまう。
「おめでとうございます!兄上!ナオさん!俺…凄く、凄く嬉しいです」
「ありがとう。今日心拍が確認できたばっかりで、まだまだ先は長いけど…私、必ず元気な赤ちゃん産んでみせるから。それまて何かと迷惑かけちゃう事もあるかもしれないけど、…どうかよろしくね」
「はい!僕にできる事であれば何でもさせてもらいます!」
「ふふっ凄く頼もしい。ありがとう」
「頼むぞ。千寿郎」
杏寿郎さんの方を振り返ると、眉を下げとても暖かい目で千寿郎さんのことを見つめていた。
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悪阻の症状も全くなく、幸運にも私は安定した妊婦生活を送っていた。気づくと、所謂安定期と呼ばれる妊娠16週を迎え、私はようやく今日、自分が子ども授かったことを職場に報告する。
「室長、今お時間よろしいでしょうか?」
「どうしたの?」
どんな反応をされるか少し怖かった。例の先輩には初期の段階で報告をしており、先輩は私が荷物を運ぶように頼まれたり、脚立を使わないと出来ないことを周りから頼まれた際、いつも周りにバレないようさり気無く仕事を代わっていてくれた。そのお礼として、美味しいと評判のお酒や、スイーツを渡すと"こんなのいいのに。可愛い後輩のためだから当たり前でしょ。まぁくれるって言うんならもらってあげる"なんて言いながら私が気に病まないようにと受け取ってくれていた。果たして、上司はどうなのだろうか。私の手は緊張からか小刻みに震えていた。
「あの…実は…子どもができました。今妊娠5ヶ月目に入るところです。安定期に入ってから報告させてもらいたく、報告が遅くなってしまいすみません」
室長は一瞬驚くもニッコリと微笑み
「それはおめでたい!でもね、出来ればもっと早く言って欲しかったな」
