第13章 暖かく和やかに
杏寿郎さんは私のそんな様子に気づきとハッと息を飲むと
「すまない!そんな…ナオを責めている訳ではないんだ!ただ君が心配で…本当にすまない」
そう言ってギュッと私をキツく抱きしめた。
そんな泣く程のことでもないのないのに…妊娠すると感情の起伏が激しくなることがあるって言うけど…そのせいなのかな?
「…私こそごめんなさい…もっと自覚して気をつけるようにします…だから…怒らないで…」
泣いたらダメと思えば思うほど涙が溢れて、もはや自分でも制御が出来ない。グズグズ鼻を啜りながら杏寿郎さんの胸に擦り寄ると
「抱き上げるぞ」
そう言って私の膝裏に腕を差し込み横抱きにされる。普段であれば降ろして欲しいと騒ぐところだが、あいにく今はそんな気にもなれず、私は素直に杏寿郎さんの首に腕を回し抱き上げられた。
「一度部屋に戻ろう」
そう言って杏寿郎さんはスタスタと部屋へと足を進める。
杏寿郎さんは私を横抱きにしながらも器用に部屋の扉を開け、中に入り再びそれを閉めると部屋の中心あたりまで行き私を横抱きにしながら座った。
「顔を見せてくれないか?」
杏寿郎さんが優しくそう言ったものの、未だに涙を止めることが出来ない私はイヤイヤと首を横に振る。こんな些細な事で泣く自分が酷く恥ずかしかった。
「むぅ。困った。君がそんな悲しそうにしていると、俺も悲しくなってしまう」
「…っそれは…困ります。杏寿郎さんが悲しいのは…何よりもいやです…」
「…まったく。自分が泣いている時ですら、君は優しいんだな」
杏寿郎さんはそう言うと、私の頭をその大きな手で撫でなる。その手のぬくもりがやけに心地よく、私の心は落ち着きを取り戻したのか涙がようやく止まってくれた。ゆっくりと顔をあげると
「ようやくこちらを見てくれたな。ほら、もっと俺にくっ付きなさい」
と、優しい声色で言う杏寿郎さんに引き寄せられるように私は身を寄せる。
「…口付けても良いだろうか?」
杏寿郎さんのその問いに私は
「…して…いっぱい…たくさん」
恥ずかしげもなくそう答え、自ら口づけを強請るように杏寿郎さんに顔を近づける。杏寿郎さんはそんな私の両頬をその大きな手で包み込み
ちぅ
と優しく口付ける。
あっという間に唇が離れていってしまい、私は"物足りない"と思いながら杏寿郎さんを見上げる。
