第4章 赤く赤く
「ところで女性にこのようなことをお聞きするのは失礼かと思うのですが、柏木さんはおいくつなのですか?」
千寿郎さんに聞かれてそう言えばきちんと言っていなかったことを思い出す。
「そう言えば言ってませんでしたね。今は齢16でまもなく17になるところです」
その年齢に反応したと思われる師範がグリンとこちらに顔を向ける。
「柏木は17になるのか!よもや俺と同じとは!」
‥それはどういう意味だろうか。なんだかその物言いに妙に引っかかる部分がありじーっと師範を見る。
「俺はてっきり3つほど年下かと思っていた!」
年頃の娘にそれは失礼ではなかろうか。確かに私は師範に比べれば背が低いし、胸も‥かなり小ぶりだ(きっとこれから大きくなるはず!)。それでもそれなりに鍛えてはいるし、自分では年相応だと思う。ムッとした顔で師範を半分睨みつけるように見る。
「わはは!すまない!そんな目で見てくれるな!しかし同年齢であれば師範と弟子というのも少しおかしくはないだろうか?」
「そうですか?私としては師範は階級も上で上官に当たりますし、鬼殺隊において年齢はそこまで重要視されていないと思っているのでおかしいとは思わないのですが‥」
今日の今日だが私の中で煉獄さんは"師範"と呼ばせてもらうのが1番しっくりくるし、教えを請うのだから"弟子"という立場が相応しいと思う。
「僕には鬼殺隊のことはよくわかりませんが、そんなものなのでしょうか?」
「むぅ。俺にもよくわからんが柏木がそれで良いのであればもうなにも言うまい」
「はい!全くもって構いません」
夕食を共にと誘われたが恐れ多くてそれは丁重にお断りした。私としては「好きにしろ」と言われていたとしても、炎柱様にきちんと挨拶を済ませる前に当然のように煉獄家の敷居を跨ぐのは良い事だと思えない。任務でしばらく不在との事だったので、次にお会いできる機会にきちんと挨拶をさせてもらおう。
「それでは、今日はこれで失礼します。また明日、今日と同じくらいの時間に来させていただきます」
「うむ!帰り道に気をつけるように!」
鬼殺隊の隊士であるのだから一般人しかいない街中で気をつけることもないのだが、誰かに心配してもらえるという事自体久々だったのでくすぐったくも嬉しかった。