第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
電車が来る時間までまだ余裕もあり、杏寿郎さんと私がお世話になった運転手さんを見送ってから中に入ろうとそのまま立っていると、運転席の窓がウィーンと音を立て半分ほど開かれた。どうしたのかと杏寿郎さんと顔を見合わせ、運転手さんの方を再び見ると
「お二人の幸せな御姿。見ることができて私は心より嬉しく思います。どうかいつまでもお幸せに」
「…っえ?それって「それでは」」
そう言い残し車は去って行った。どんどん遠のいて行き、あっという間に見えなくなってしまう。
「…あの人…鬼殺隊の関係者だったのでしょうか?」
「そうかもしれないな。おそらく何処かの藤の家の者辺りだろう」
思い出そうとしてみるものの、お世話になった藤の家は沢山あったため、残念ながらあの優しげな運転手さんを思い出すことが出来ない。
「…思い出せません」
「俺もだ」
あの口振りからして、杏寿郎さんと私が前世でどんな終わりを迎えたかを知っているようだった。
「もしかしたら、槇寿郎様なら覚えているかもしれませんね。…次に一緒に来た時に聞いてみましょう」
「うむ!そうだな。では帰ろう、煉獄家に!」
「…っはい!」
こうして杏寿郎さんと私の、幸せとトラブルと思い出に溢れる初めての旅行は終わりを迎えた。
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それから3週間後。
「ナオさん、荷物が届いておりますよ」
仕事を終え煉獄家に戻り、杏寿郎さんと私の部屋に向かおうと台所の前を通った際、瑠火様にそう声をかけられる。
「…荷物ですか!?もしかしてフォトスタジオシーロキュムラスですか!?」
私は思わず台所に走り入り、瑠火様に駆け寄る。瑠火様は隣のテーブルに置いてある箱をチラリと見ると、
「そのようですね」
と静かに言った。一方の私は大興奮で
「来ました!来ましたよ瑠火様!写真が!」
思わず瑠火様の手を取りぴょんぴょんと跳ねる。そんな失礼極まりない私の行動を少しも咎めることなく
「そうですか。早く見たいところですが、開けてしまうと恐らく私を含め夕飯が手につかなくなりそうなので、夕食を終えてから開けて見せてもらえますか?」
と優しく微笑んだ。
「はい!杏寿郎さん今日は早く帰って来ますかねぇ…」
「どうでしょうね?ほら、ナオさん、手洗いうがいをきちんとして来ないと風邪を引きますよ」