第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
経験上、杏寿郎さんがこうなったら私が首を縦に振るまで納得しない事は嫌と言うほど理解している。それにだ。恥ずかしくて記憶を抹消したい程の気持ちではあるが、正直な所、決して嫌な訳では無かった。自分の欲を何の戸惑いもなく受け止めてもらえる、そして相手からぶつけてもらえる事はとても幸せだ。
「…杏寿郎さん、私が酔っ払ってあんな風に…杏寿郎さんを襲うまがいのことをして…はしたないと思いませんでしたか…?」
恥ずかしさから杏寿郎さんの目を見て話すことができない私の顎を、杏寿郎さんはクッと持ち物理的に目を合わせ
「はしたないと思うわけがないだろう?…寧ろ最高だ!」
と、満面の笑みを浮かべた。その笑顔に、私の胸はキュンっと高鳴る。
認めるのは恥ずかしい。けれども私も杏寿郎さんと2人で気持ち良くなるのが好きだ。杏寿郎さんと繋がっている時、心と、そして身体が満たされ、この上ない幸福を感じる。
「…わかりました。杏寿郎さんの願いで有れば…私は喜んで受け入れます…っ!」
「そうか!それは良かった!俺は心底嬉しい!」
杏寿郎さんはそう言うと、私の身体をギュッと抱きしめる。肌と肌が触れ合い、一瞬ドキリとしたものの、その大好きな温もりに安心感を覚えた。
「次が楽しみだ!待ちきれない!」
その台詞と共に、私を抱きしめる力を強めた杏寿郎さんを
"なんて可愛い人なんだろう"
と思った私は、心も身体も、杏寿郎さんに溺れ切っているに違いない。
——————
「それでは煉獄様、お気をつけてお帰りください」
旅館での最後の朝食を取り、杏寿郎さんと私はあの運転手さんに送られ、来た時と同じ駅に到着した。
「世話になった」
「3日間ありがとうございました」
そう言って頭を下げる杏寿郎さんと私に向かって
「こちらこそ。お二人の送迎をお任せいただきありがとうございました」
とニッコリと微笑んだ。車から運転手さんが荷物を降ろしてくれたので、杏寿郎さんと一緒に受け取ろうとしたものの、ほとんど杏寿郎さんに取られてしまい私の手にはボストンバッグが一つのみ。
「また今度、父上や母上、そして弟を連れて泊まりに来たい。その時はまたよろしく頼む!」
「それは楽しみでございます。それでは、次の仕事がありますのでこの辺りで私は失礼します」
そう言って運転手さんは車へと乗り込んだ。
