第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「それは困る!」
杏寿郎さんの大声に私の肩はビクリと跳ねた。
「しまった。離れとはいえ早朝に大声を出すのは良くなかったな」
そう言えば、空がかなり白み始めているが今は何時なのだろうか。
「今何時なんですか?」
「今か?今は5時だ!」
朝の5時。杏寿郎さんと私がお酒を飲み始めたのは、確か8時頃だった。時計は…見る余裕なんてなかったし、そもそも最後はプッツリと意識を失うように眠ってしまったから、あの時が何時だったのか見当もつかない。
「あの…杏寿郎さんは昨日、何時に寝たんですか?」
本来であれば"私が何時に気絶したか"を聞きたかった。けれども恥ずかし過ぎて、そんな聞き方はどうしても出来なかった。
「俺は確か…12時半頃だったな。ナオが寝てしまったのは12時頃だった」
「…そうですか…」
知りたかった情報を手に入れられ、取り敢えずはホッとしたものの私はふと考えた。
お酒を飲み出したのは8時からで…多分30分位で私はもうかなり酔っ払っていたから…3時間位…ずっとしてたって事?
そう考えると、この腰の痛みも…股の痛みも、悲しいかな納得が行く。
「でも…杏寿郎さん困るって…何に困るんです?」
むしろあんな風に酔っ払った方が困るだろう、と思ったのに
「昨夜のあの時間は俺にとって最高の時間だった。ご褒美と言っても過言ではない。…酔っ払った君は最高だ!頼む!月一回で構わない!あの素晴らしい時間をまた俺にくれ!」
杏寿郎さんが必死の形相で私の手を握り、頼んでくるではないか。私は、未だかつてそんな表情の杏寿郎さんを見たことがない。
私…愛する旦那様に、一体何をそんなに必死に頼まれているんだろう。
はっきり言ってお断りしたい。だって私は昨日の出来事を記憶から抹消したい程恥ずかしいと思っているし、またあんな痴態を晒すのは真っ平御免だ。
「…いや…でも…やっぱりあそこまで酔っ払ってしまうのは…大人としてよろしくないかと…」
「そんなことはない!あれは君が俺を全面的に信頼し、心より求めてくれているからこそ見られる姿だろう?俺はとても嬉しかった!幸せだった!頼む!本来であれば毎週でも君を酔わせたいところ、君の気持ちを尊重し月1回で我慢する!実は昨日君が飲んでいた酒を、すでに1箱通販で注文済みだ!だからどうか、俺の願いを受け入れて欲しい!」
