第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
その寝起き独特の、掠れた声に私の胸はトクリと甘く音を立てる。
いや、でも今は…それなところじゃない!
「あの…わ…私…お風呂に入ってきます!」
カバッと立ち上がったとき、腰に痛みを感じたが、今の私はそんな痛みに構っている心の余裕はない。
「…っ待ちなさい!」
杏寿郎さんか私を呼び止める声が後ろから聞こえたが、聞こえないフリをして露天風呂へと走った。
「私…なんて事を…」
軽く身体を洗い流した後、湯船に浸かりながら私は再び頭を抱えていた。思い出されるのは、昨日の自分の痴態の数々。
「っいやー!思い出したくない!」
スゥッと息を吸い
バシャンッ
私は頭のてっぺんまで湯船へと潜った。
外の音が遮断され、コポコポという可愛らしい音以外はほとんど聞こえなくなると、ほんの少しだけ心が落ち着いた気がした。
15秒程経ち、息が苦しくなってきたので
バシャッ
と湯船から勢いよく出ると
「こら。溺れているかと思って心配しただろう」
「っ杏寿郎さん…」
目の前には、腰にタオルを巻いた杏寿郎さんが立っていた。
私がポカンとしていると、杏寿郎さんは腰に巻いていたタオルを外し、畳んで頭に乗せる。私が思わずパッと目を逸らすと
「君が恥ずかしがるポイントが俺にはよく分からない」
と言いながらザブザブと湯船に侵入し、私の隣へと陣取り、フゥと一息ついて肩まで湯船に浸かり始めた。
「二日酔いは大丈夫か?」
「…はい…全くもって大丈夫です」
残念ながら記憶もあります、という言葉は飲み込んだ。
「うむ!だがあれだけ酔っ払った後だ、きちんと体調を確認しないまま風呂に入ったら駄目だろう。次からは気をつけなさい」
成る程、だから先程杏寿郎さんは慌てて私を引き留めていたのか。
「…すみません。肝に銘じておきます」
「そうしてくれ。腰の方は大丈夫か?」
「…っ!」
杏寿郎さんのその問いに、私の首から上がカーッと急激に熱くなる。
「…少し…痛みますが…平気…です…」
恥ずかしさで言葉が尻すぼみになって行く。
「それは良かった。それにしても酒に酔ったナオは恐ろしい!あんな姿を見てしまったからには、やはり外で酒を飲むことは許可できそうにない」
「…ご安心ください。もう杏寿郎さんの前でもあんなに飲むことはありません」