第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「仕方なく参加したものの、まぁこれが驚くほどつまらない、というかむしろ苦痛で」
良く知りもしない、知りたいとも思わない男達と、なぜ先輩の頼みとは言え食事を共にしなければならないのか。ただの時間の無駄ではないか、とあの時の私は思っていた。
杏寿郎さんはチビチビとお酒を飲みながら、私の話を黙って聞いている。
「話しかけてくる人に適当に返事をしながら、ひたすら食べることに集中してたんです。でも、流石に先輩も不味いと思ったのか、"ほんの少しだけお酒を飲めば、楽しくなるかもよ?"なんて言うものだから…その言葉を真に受けてしまって…」
「…それで?」
杏寿郎さんがコトリと音を立ててお猪口をテーブルに置いた。
「…私…酔っ払うと…恐らく警戒心が緩んでしまうタイプらしくて…知らない間に…スマートフォンから連絡先を取られてしまっていたみたいで…」
「…ほぉう」
杏寿郎さんの相槌が明らかに不機嫌さを帯び、私はタラリと汗をかく。
「もちろん!気づいてすぐ拒否設定もしたし、先輩に勝手に連絡先を取られたことを話して、向こうの幹事に抗議の連絡もしてもらいました!…でもお酒にさえ酔わなければ、私がそんなミス、犯すはずなかったのに…」
「…ナオは昔から身持ちが固いからな。俺は君のそんな所も好ましく思っている」
杏寿郎さんはそう言いながらお酒の瓶に手を伸ばし、蓋を開けた。それから私用にと置いてあったと思われるお猪口に、微発砲酒をトクトクと注ぐ。
「…そんなこともあって、人前でお酒を飲むことは避けてきたんです。飲むとしたら、家で1ヶ月に1回、それもコップにほんの少し飲む程度で。…だからあの日、煉獄家でお酒を飲んだのも…久しぶりで…酔っ払ってしまったんです…」
まるで言い訳を並べる様にペラペラと話す私の前に
コトン
とお酒が入ったお猪口が、杏寿郎さんの手によって置かれる。
「成る程。君がお酒に弱いことは良くわかった。出来れば今後、俺のいない時に飲むのは避けてもらいたい」
「…元よりそのつもりです」
「すまない。だが警戒心の弱った君を他の男の前に晒すのは、どうしても許せそうにない」
「私だって、あんな失敗…2度と犯したくありまん」
「うむ。ではもうこの話は終いだな。さぁ、飲むと良い!」
…杏寿郎さんは、本当に私の話を聞いていたのだろうか。
