第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
テーブルはすっかり中居さんの手によって綺麗に片付けられ、置いてあるのは旅館おすすめの、女性も飲みやすいと言う微発砲の日本酒と、杏寿郎さんが頼んだと思われる徳利が3本。
「…そんなに飲むんですか?」
「うむ!昨日は挙式がある故控えたが、明日はもう帰るだけだろう?俺はこれを飲む。それはナオが飲むと良い!」
そう言ってひんやり冷やされた瓶を指差す杏寿郎さん。
「…私、お酒はあまり得意ではないので、一人で飲み切れるかどうか…」
「そうか?アルコール度数も低めなようだが。ナオはあまり酒類が好きではないのか?」
「えっと…決して嫌いなわけではないのです。ただ、恐らく人よりもアルコールに弱くて…」
「そう言えば初めて煉獄家に泊まった日も、ジュースのような酎ハイで酔っぱらっていたな」
あの日のことは出来れば忘れてほしい。
「それに、前にちょっと…お酒で失敗したことがあって…それからあまり人前では飲まないようにしているんです」
杏寿郎さんはその"失敗"と言う言葉にピクリと眉を動かし、
「…ほぉう。その"失敗"とやらの内容、よもや俺に隠さなければならない様な事ではあるまいな?」
とほんの少し怒ったように言う。
「…っちゃんと説明しますから!怒らないで下さい!それに、杏寿郎さんが思っているような大袈裟な失敗じゃありませんから!」
慌てる私をジッとその目で見つめ、杏寿郎さんは自分の隣をポンポンと叩き、正面に座っている私に隣に来るよう指示する。
…行かないって言う選択肢はなさそうだな。
私はゆっくりと立ち上がり、杏寿郎さんの隣に移動すると、ポスンと隣に腰掛けた。
「うむ!話すと良い!」
正直言ってこの話をするのはあまり気は進まない。けれども、杏寿郎さんに余計な心配、というより変に勘繰られたままでは後が怖いので、私は包み隠す事なく"失敗"とやらの内容を話す事にした。
「私が大学2年の時、どうしても合コンの人数が足らないから来て欲しいと、ゼミの先輩に泣きつかれたことがありまして」
「…合コン」
杏寿郎さんの声は心なしか普段よりも低い。
「あ!怒らないでください!良くしてもらってる先輩にどうしてもって言われて…断れなかったんです!」
"お金も出す。ケーキも奢る。いるだけで良い。"
そう言う先輩があまりにも必死で断れなかった。
