第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「煉獄様、どうかお顔をおあげ下さい。こちらこそ、奥様がお困りになっているのをすぐ気づくことが出来ず申し訳ございませんでした。あなた方お二人については他のお客様からも苦情がいています。これ以上他のお客様方に御迷惑をおかけする様であれば、お引き取り頂くことになりますがいかがいたしますか?」
女将のその毅然とした態度に
「「…すみませんでした」」
とばつが悪そうな顔で謝った後、すっかりと酔いのさめた2人は部屋へと帰っていった。
「煉獄様、奥様。すぐにお助けできなかった事、改めて謝らせてください」
私は頭を深く下げ謝る女将に
「そんな…もう謝らないでください。私が勝手に酔っ払いに絡まれてしまっただけで、謝ってもらうことなんて何もないんです」
と頭をあげてもらえるように言った。
「いいえ。他の仕事に気を取られ、本来いるべき場所に誰もおらず、騒ぎに気づくのが遅くなったのは明らかに私どもの不手際です。お詫びになるかはわかりませんが、食後に当旅館おすすめの日本酒をお持ちさせて頂きます。どうか旦那様とお楽しみ下さい」
「っそんな「それは嬉しい!是非頂こう!」…ちょっと、杏寿郎さん!」
杏寿郎さんは慌てる私の耳元に口を寄せると
「女将があそこまで言ってくれているんだ。あまり断ってしまうのも彼女に恥をかかせることになる。お言葉に甘えることも大人対応の一つと言うものだ」
とコッソリと言った。成る程確かに杏寿郎さんの言う通りだ。流石は代々続く煉獄家の人間だなと、私はひとり感心した。
「…それでは、お願いします。あ!でもそのかわり…じゃあないんですけど、あのお土産屋さんに置いてあるお花の香りの石鹸…迷惑でなければあそこに出ている分を全て買っても良いでしょうか?」
「私は構いませんが…気を遣って頂かなくても良いんですよ?」
「いいえ!本当に欲しいんです!買い占めたら悪いかなと思って悩んでいたのですが…友人のお土産用にたくさん買いたいんです!だって、本当に良い香りで肌がすべすべになったんですもん」
私がそう興奮気味に言うと、女将は
「ありがとうございます。実はあれは私が買い付けたものでして。気に入っていただき光栄です」
とニッコリと微笑んだ。私も女将に微笑み返し、その後杏寿郎さんの顔を見上げると、杏寿郎さんもニコニコと微笑みこちらを見ていた。
