第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「それ、安産のお守り?ありがとう!」
ハナエさんはニコリと微笑み私の手から二つのお守りを受け取ると、ひとつを自分のスマートフォンにつけ、もう一つをご主人へと手渡した。
「ありがとうございます。なんだか煉獄様から頂いたって言うだけでとてもご利益がありそうです」
ご主人の方も、その場でわざわざ商売道具であるはずのカメラバッグにお守りをつけてくれた。
「…お二人に会えて、本当に良かったです。どうか、どうかお幸せに」
泣いたらだめ。
「それは私達が言う台詞なんだけどなぁ」
どう考えても、私の行動は、様子はおかしいに違いないのに、それをわかっていながらハナエさんもご主人も、何も聞かずにいてくれる。
「きっと、元気な赤ちゃん産むからね!ナオさんのところは5人子どもが欲しいんでしょ?小柄なのに大変だと思うけど、まだ若いし、頑張ってね!」
そう言って私の肩をポンっと1回ハナエさんが叩いた。熱い何かで胸がいっぱいだったはずの私の心は、"子ども5人"と言う言葉にフッと熱を奪われる。
「…子ども…5人…?」
恐る恐る杏寿郎さんの方を振り返ると、ニコッと満面の笑みを浮かべ
「5人だ!」
と確かに言った。
「…5人は…流石にちょっと…」
「あら?もしかして、ナオさんは知らなかった感じ?ふふっ新郎様ったらそんな大切なこと勝手に決めたらだめよ。産むのはナオさんなんだから」
そう言いながらもハナエさんはおかしそうに笑っている。私は思わず首をブンブンと縦に振り、ハナエさんの言葉に激しく同意を示す。
「そうか?兄弟は多ければ多いほど良いだろう!」
「そんなこと言っても…杏寿郎さんだって、千寿郎さんと2人兄弟ですよね?それに産むだけで終わりじゃないんですよ?子を育てるのにはお金もたくさんかかるんですよ?」
「そんなことはわかっている!」
わかっていて5人も欲しいと言うとは。いったい杏寿郎さんの中でどんな家族計画が進んでいるのか、私は不安で仕方がなかった。
「夫婦でお話し合いが必要そうですね」
「愛されすぎるって言うのもなんだか大変そうね」
2人を見送った杏寿郎さんと私は、近くの和食屋さんで遅めの昼食を取りながら旅館の迎えを待った。
「彼女の連絡先を聞かなくて良かったのか?」
「…良いんです」