第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「少しだけ…少しだけ待っててもらえませんか?すぐに戻りますから…っ!」
私の言葉に、三人とも首を傾げこちらを見ている。
「…私達は構わないけど…どうしたの?」
「何か気になることでとあるのか?」
「…っすみません!とにかく…すぐ戻ります!」
そう言ってくるりと身を翻し、神社の境内の方に向け走る。
「…ナオ!」
杏寿郎さんが、心配そうに私を呼ぶか声が聞こえたが、"ごめんなさい"と心の中で謝り、私は止まることなく足をすすめた。
「っすみません!」
「あ、あなたは先ほどのご新婦様。どうかされましたか?」
「あの…っ、これと、これを下さい!」
「このお二つですね。それでは3000円お納め下さい」
「…っすみません……おまたせ…しました…」
はぁはぁと肩で息をし、膝に手をつき俯く私の背中を、杏寿郎さんかトントン優しく叩いてくれる。
「大丈夫か?突然走って何処かに行ってしまい心配した。行き先くらいきちんと伝えてから行きなさい」
「…すみま…せん…」
あまりにもぜぇぜぇしている私の様子に、
「そんなに急がなくても大丈夫でしたのに」
「そうよ。この後はもう仕事の予定もなかったから時間なんて気にしなくってよかったのよ!」
と、ハナエさんとご主人が優しく声を声を掛けてくれた。
「…っあの!お二人にどうしてもこれをお渡ししたくて…」
そう言って私が取り出したのは、先ほど、境内まで行き購入して来たお守りが2つ。
「…これは…」
「ハナエさんには、安産守りを。…元気な赤ちゃん、産んでください。ご主人には身代わり守りを。…身体に気をつけて、ハナエさんとどうかお幸せに」
今度こそハナエさんが赤ちゃんに会えますように。今度こそハナエさんとご主人が2人、いや、3人幸せに暮らせますように。どうか3人をお守り下さい。
「俺からもお願いしたい。どうか、ナオの気持ちを、受け取ってやってはもらえないだろうか」
私の行動の意味を理解したであろう杏寿郎さんが、私の隣に並び、私と同じ様に頭を下げてくれる。
きっと2人は、なぜ私がこんなにも必死にお守りを渡そうとしているのかわからないだろう。わかる日が来ることもきっとない。それでも、どうしてもそうせずにはいられなかった。