第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
挙式を終え、お世話になった神主様や巫女さんにお礼のご挨拶をすると、
"あんなに立派な誓詞奏上は初めて見た"
"こんなに紋付袴がお似合いになる方は他にはいない"
と杏寿郎さんにお褒めの言葉をいただき、私は自分が褒められているかの様に嬉しさを感じた。けれど、誰も彼も褒めるのは杏寿郎さんばかりで、隣にいる私はほんの少しだけ虚しさを感じてしまう。
杏寿郎さんが素敵な事は事実だし…気にしても仕方ない。
そんな風に思っていた私だが、参道を歩いている際
「お姉さんとっても綺麗!私も将来お姉さんみたいに真っ白なお着物を着て結婚式がしたい!」
と目をキラキラさせて近寄ってきてくれた女の子の言葉、そして
「そうだろう!俺の妻は信じがたい程に美しいだろう!」
と満面の笑みを浮かべ言う杏寿郎さんに、そんな気持ちも無くなってしまった。私は付けていたかすみ草を模した髪飾りを外し、女の子へと差し出す。
「良かったら貰ってくれないかな?そんなに派手な物じゃないから、夏に浴衣を着た時とかも使えると思うの」
私のその申し出に女の子は
「えっ?良いの?うれしい!…でもいいの?」
と上目遣いで私の顔を見てくる。
「いいの。お姉さんね、このお兄さんばっかり褒められるものだから、ちょっと不貞腐れてたの。でも、あなたがとっても綺麗って言ってくれたから元気が出たの!だから嫌じゃなかったら是非」
女の子は満面の笑みを浮かべ
「ありがとう!私、この髪飾り、宝物にする!」
そう言って髪飾りを受け取ると、嬉しそうにその子の両親の元に駆けて行った。女の子が髪飾りを持っていることに驚いたご両親が、驚いた顔でこちらを見る。私が会釈をし微笑みながら、"どうぞ"と口を動かすと、その言葉が伝わったのか、あちらも会釈をし、女の子と三人手を振りながら去って行った。
「よもや不貞腐れていたのか」
杏寿郎さんがニヤニヤとしながら私の顔を覗き込む。
「だって…私だって綺麗にしてもらったのに、みんな杏寿郎さんばっかり褒めるんですもん」
唇を尖らせてむっとする私に、杏寿郎さんは
「わはは!ナオの魅力は俺さえわかっていれば十分!綺麗に着飾った君の姿も独り占めしたい位だ!」
「…そうですか」
杏寿郎さんの言葉に、不貞腐れていた自分が馬鹿らしくなる程、私の心は幸せな気持ちで溢れか返るのだった。
