第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
ハナエさんはそう言うと私の手を取った。
「それじゃあ早速、ナオさんの方から始めさせてね。新郎様の方は、申し訳ないんですけど、新婦様の準備が終わるまで隣の部屋で待っていて下さい」
「承知した!自分で出来る事はある程度進めておく故、彼女を一等素敵にしてやってくれ!」
「あら?和装の着付けが自分で出来ちゃうの?流石歌舞伎俳優さんみたいな見た目だけあるわね…」
「…っ歌舞伎…俳優‥」
そう目を丸くして言うハナエさんに私は思わず吹き出してしまった。
「こら、ハナエ。新郎様に失礼だろう」
「わはは!構わん!明るくて素敵な奥様だ!」
杏寿郎さんとハナエさんがこうして話している。その姿を見られただけで、まだ挙式が始まってすらいないのに、私は今日ここに来られて良かったと心から思った。
「はい!完成!」
目の前の鏡を見て、思わず私は目を丸くした。
「…これが…私…?」
手放したはずの白無垢に袖を通した姿。写真映えする様にと普段よりも濃いめに施してもらったお化粧。綺麗に纏められた髪の毛。
「うん。とっても素敵」
鏡に映った私は、本当に自分なんだろうかと疑いたくなるほど素敵な花嫁に変身させてもらっていた。
「うふふ。新郎様、ナオさんが素敵すぎて腰を抜かしてしまうかもね」
鏡越しに見える、悪戯な表情を浮かべ微笑むハナエさんにつられて私も自然と笑顔になる。
「ナオさん、ファーストミートって知ってる?」
「ファーストミート?初めて聞きます」
「ファーストミートって言うのはね、結婚式当日に新郎新婦様がお衣裳を着て初めてお顔を合わせる時のことを言うの。良かったら、そのシーンを写真に収めさせてもらいたいんだけど、どうかしら?」
ハナエさんの説明を聞き、杏寿郎さんが私のこの姿を見て、どんな表情をするのかを想像してみた。
綺麗って言ってくれるかな?
普段の私と違いすぎて驚くかな?
それともいつもの笑顔をみせてくれるかな?
想像すればするほど胸がドキドキして、気づくと私は
「是非!お願いします!」
と返事をしていた。
「良かった!新郎様にはこの後、私の方から伝えさせてもらいますね!きっと素敵な写真が撮れるわ」
そう興奮気味に言うハナエさんに手を引かれ、私は杏寿郎さんと対面しない様に別の部屋へと案内された。