第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
杏寿郎さんも、私の身体に腕を回し、まるで縋り付くかのように私の身体を強く抱きしめる。
「私、この間かつての鬼殺隊の仲間だったみんなに会って思ったんです。今あるこの幸せな時間は、みんなの笑顔は、きっと神様がくれたご褒美なんです。身を削って、命を削って、鬼を滅ぼした私達に、"よく頑張ったね"って神様がくれた最高の幸せなんです」
撫でていた杏寿郎さんの頭から手を移動し、今度は背中を優しくぽんぽんと叩く。
「だから大丈夫です。杏寿郎さんは、私は、みんなは絶対に幸せになれるんです。なるんです。何があっても、今度こそ私が杏寿郎さんの笑顔を守ります。だからもう、あの時の事を思い出して、私の為に心を痛めないで。…私は、杏寿郎さんの太陽のように明るい笑顔が、夕日のように暖かな笑顔が、とっっっても好きなんです」
私の愛が、少しでも多く杏寿郎さんに伝わりますように。
「愛してるよ。…杏寿郎」
杏寿郎さんは、私の胸から顔をパッと上げ、目を見開き私を見る。私は初めての"杏寿郎"呼びに、なんだかとても照れ臭くなり目を逸らしたい衝動に駆られたが、なんとかそれを堪え、今できる精一杯の笑顔で杏寿郎さんを見つめ返した。
「…君は…本当に……」
そう言った杏寿郎さんの瞳が、僅かに揺れた気がした。私はそれに気付かないふりをする。
「ほら!明日は大事な挙式です!早く寝ないと、クマのある顔で写真を撮ることになってしまいますよ。杏寿郎さんが眠るまで、私が背中をポンポンしてあげますから!…安心して寝て下さい」
杏寿郎さんもたまにこうして私をポンポンしてくれる。私はいつも"子どもじゃないんですけど"と言いながらも、杏寿郎さんのその大きな手でそうされるのが好きだった。
「…もう"杏寿郎"とは呼んでくれないのか?」
「…恥ずかしいので…たまにで許してください」
「それは残念。…また呼んでくれるのを、楽しみにしている」
杏寿郎さんはそう言うと、私の後頭部に腕を回しグッと私の顔を引き寄せた。
…ちぅ
触れるだけの優しい口づけを一度落とし
「おやすみ、ナオ」
と微笑んだ後、私の胸に顔を埋め目をつぶった。
「おやすみなさい、杏寿郎さん」
どうか杏寿郎さんが幸せな夢を見れますように。