第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「…杏寿郎さん…凄く…素敵な旅館ですね」
「あぁ。期待した以上だ!」
車を降り、辿り着いたその旅館はホームページで見た通り、情緒に溢れ、まるで別世界に迷い込んでしまったかのような気分になった。
「記帳はあちらの受付にてお願いします」
そうしてここまで荷物を運んでくれた運転手さんが示した先には、これまた雰囲気のあるカウンターが設置されており、旅館の受付と思われる女性が笑顔でこちらを見ていた。
「すまない。ではナオ、まずは記帳を済ませるとしよう」
「…あ…はい…」
あっちを見てもこっちを見ても素敵過ぎて、私は杏寿郎さんの話にも生返事になってしまう。
あの置物も、あの椅子もテーブルも…この場所にとても馴染んでて…すごく素敵。
そんな私の視界に、ヒョイっと杏寿郎さんの顔が入り込み
「ほら、行くぞ」
と眉を下げ、困ったように笑った。
「…っすみません!あまりにも素敵過ぎて…つい」
杏寿郎さんはニコリと微笑むと
「仕方のない子だ」
と、言いながら優しく私の腕を引き受付へと向かった。少し離れたところで杏寿郎さんと私の荷物を持っていてくれている運転手さんの''本当に仲が良ろしいご夫婦だ…"という独り言が耳に入り、私の頬はかぁっと急激に熱を帯びたのだった。
中居さんと運転手さんに連れられ、杏寿郎さんと私はこの旅館で一番人気だという離れへと案内された。離れということもあり、受付をした場所からはかなり離れてはしまうが、食事もこの場で取れ、尚且つ部屋専用の露天風呂があるとくれば私達にはなんの問題もない。中居さんと運転手さんは"後程女将が挨拶に伺います"と言った後、離れの部屋を出て行った。2人の気配が完全に遠のくと
「…っ見てください杏寿郎さん!この素敵なお部屋!」
私は興奮抑えられず子供のようにはしゃいでしまう。
「椅子もテーブルも、棚も、おトイレの扉ですらこーんなにも素敵です!」
杏寿郎さんは私の様子にクスクス笑いながら
「うむ!ナオがとても気に入ってくれたようで良かった」
と荷物を整理しながら言った。露天風呂の様子がどうしても気になった私はそんな杏寿郎さんそっちのけで部屋の奥へと進み
「…っ杏寿郎さん杏寿郎さん!来てください!」
露天風呂を確認するや否や大興奮で杏寿郎さんを呼びつける。