第3章 魅せられる【side-K-】
「無理しすぎ、そのうち死ぬ、怖い」
悲しそうに言う彼女の烏に向け腕を出すと素直にそこに乗ってくる。すると要もその隣にやって来て2羽寄り添うように並ぶ。
「そうか。君は主人想いなのだな!」
きっと彼女にに大切にされているのだろう。となれば、彼女のことをよく知っているに違いない。
「うむ!俺も彼女のことで気がかりなことがあってな!共に鍛錬し、稽古をつけたいと考えているのだが君はどう思うだろうか?」
その言葉を聞いた烏は真っ黒な目を心なしかキラキラさせこちらを見る。
「名案!頼む!ナオ、死なないよう、強くして欲しい!」
バサバサと羽を羽ばたかせ喜んでいるようだ。
「うむ!俺に任せると良い!」
「感謝する!お館様に報告行く!」
というや否や飛び立って行った。未だ彼女の気持ちを確認していないが、きっと大丈夫であろう。
「さて、我々も帰るとしよう」
完全に見えなくなってしまった彼女の烏を見送り、ようやく帰路についた。
彼女が目覚めたと連絡が来たのはそれから3日後の朝だった。予想よりも早い連絡に安堵し、早速明日任務が終わり次第訪ねたいと烏を飛ばす。半日程待って"訪問可"の返答を受け取りいつもより軽い足取りで任務へと向かった。
「お帰りなさい兄上。任務お疲れ様でした。湯を張ってありますが、先に湯殿にいかれますか?それとも食事をされますか?」
「うむ!今日は急いでいた事もあって鬼の返り血を多く浴びてしまってな!先に湯殿に行かせてもらおう!」
「ではその間に食事を準備しておきます」
どうすれば彼女の首を縦に降らせることができるか、湯浴みをしながら考える。だが断られるという選択肢は基本的にない。多少強引になるのも致し方ないだろう。
湯殿を出て台所へ行くと、すでに千寿郎が軽食を作り終えていた。
「美味そうな味噌汁だ!早速頂いても良いだろうか?」
「もちろんです。今持っていくので、かけて待っていてください」
「うむ!」
千寿郎の言葉に従い、いつもの場所に座る。そして再び彼女をどう誘おうか思考を巡らせる。
「‥兄上、なんだかとても楽しそうですね。なにかありましたか?」
「む?楽しそうだろうか?」
「はい、とても」
「そうか!いやな、どうすれば誘いに応じてくれるか作戦を考えていたんだ!」
千寿郎は疑問符を浮かべている。
