第12章 変わらぬ愛をあなたに誓う
「着いたら起こそう。だから少し眠ると良い」
「…そうさせて、もらいます」
読んでいた本を鞄へとしまい、私は壁にもたれ掛かり寝る体制へと入った。
「そっちではなくこっちだ」
杏寿郎さんはそう言うと私の肩に腕を回し、グイッと身体を引き寄せ、自分の腕へと私の頭をもたれ掛けさせる。
「…重くないですか?」
とても嬉しくはあったものの、眠りに落ちてしまえば身体はグッと重みを増し、杏寿郎さんが本を読む妨げになってしまう。けれども杏寿郎さんが
「問題ない。むしろ君がくっついていてくれた方が落ち着く」
とニコリと微笑みながら言うものだから、私はその言葉に甘えてグッと杏寿郎さんに擦り寄った。
「ありがとうございます。…おやすみなさい」
「おやすみ、ナオ」
最後にもう一度杏寿郎さんの腕に頬をすりすりと寄せ、私は目を閉じ、眠りの世界へと身を委ねた。
「ナオ。起きてくれ」
…ここは…列車の中…?私は…ここで何を…?
「すまないが俺はもう任務に行かねばならない」
…任務?もう鬼はいないのに…どうして?
「今回の任務は難しい故君の元へ帰れるかわからない」
そんな…私も一緒に連れて行って…
「隊服も着ていない、日輪刀も持っていない君を連れて行く訳には行かない」
いや…いや…お願い…置いていかないで…
「君なら俺がいなくても大丈夫だ」
嫌だ…1人にしないで…私も…連れて行って
「では行ってくる」
だめ…行かないで…杏寿郎さん…杏寿郎さん
「ナオ…ナオっ」
大好きな杏寿郎さんの声と、頬を撫でられる感覚に意識が浮上する。
「…杏寿郎…さん?」
目を開けると、眉を下げ心配気に私を覗き込んでいる杏寿郎さんと目が合った。
「すまない。酷くうなされていたようだったので…起こしてしまった」
杏寿郎さんはそう言いながら、親指で私の目の蓋をなぞる。
「…私…泣いて…?…さっきのは…夢…?…っ…よかったぁ…」
先程の杏寿郎さんとのやり取りが夢だとわかり、安心からか私の目から次々と涙がこぼれ落ちてくる。杏寿郎さんはボロボロと泣く私を何も言わずにギュッと両腕で抱きしめ、落ち着くまでずっとそうしてくれたのだった。