第11章 待ち侘びた日々
翌朝。
ホテルを出て近くの喫茶店で朝食を食べた後、杏寿郎さんと私は、宇髄様お勧めというジュエリーショップへと向かった。
近くの駐車場に車を停め、杏寿郎さんが宇髄様からもらった紙を元に進んでいくと、どんどんと裏路地に入って行ってしまい若干の不安を覚える。ようやく教わった場所に辿り着くと、そこには地下へと続く階段があった。
「ここのようだ!」
「…看板もないですが…大丈夫ですかね?」
「違ったら謝って出れば良いだけだ!では行こう!」
杏寿郎さんは私の手を引き、ゆっくりと地下へと続く階段を降りる。
階段の終わりまで辿り着いたそこには、"JEWELRY SHOP"と書かれた重厚な扉が。
「やはりここで正解のようだな」
「なんだか隠れ家のようなお店ですね」
元忍の宇髄様らしい。
杏寿郎さんがグッと扉を引く。すると、カランカランと来客を告げるベルの音が頭上で鳴った。中に入ってみると、そこはとても雰囲気が良いジュエリーショップ兼工房というような感じの場所で、思わず"素敵"と声が漏れてしまうほどだ。
「誰もいないな」
杏寿郎さんがそう言ったすぐ後、奥の方から音がし、こちらに誰かが向かってくる気配を感じる。
「いらっしゃいませ。…あ、あなたはもしかして宇髄様のお知り合いの方では?」
ひと回り位年上に見える優しげな店主と思われる男性は、杏寿郎さんを見るや否やそう言った。
「いかにも!ここには同僚である宇髄の紹介で来させて頂いた!結婚指輪を購入したいのだが見せてはもらえないだろうか?」
「はい。当店の物は全て私1人でつくっておりますので、完成品の種類は少ないのですが、そちらのショーケースに結婚指輪は展示しております。お好きにご覧下さい。もし好みのものがございませんでしたら、オーダーメイドも承っておりますのでお気軽にお声掛けください」
「承知した!では、ナオ、早速見させてもらおう!」
「はい!」
杏寿郎さんと私は先程教えてもらったショーケースの前に移動し、中を覗き込んだ。そこには確かに数は少ないものの、ペアで飾られた美しい結婚指輪が20点程展示されている。
「…凄い…綺麗…」
普段は装飾品の類にはあまり興味を示さない私でも、目を惹かれるものが確かにあった。
「宇髄の言っていた通りだ。店主の腕が良いのだろう」