第11章 待ち侘びた日々
私の裾に手を突っ込もうとする杏寿郎さんの手を慌てて止め
「…っシャワー!先にシャワーを浴びさせて下さい…っ」
杏寿郎さんは、私のその言葉に手を止める事なく
「俺は気にしない」
と言った。
「…ダメです!結構汗をかいたと思うので…お願いです…今日は杏寿郎さんが本当に満足するまで…何度しても良いですからぁ…っ!」
私のその言葉に、ピタリと杏寿郎さんの手が止まる。
「…何度でも?」
「…何度でも…です」
「加減はしないぞ?」
「…っ…はい…」
と、自分で言ってからほんの少し後悔した。普段家で抱かれる時で、私はもう十分と思う程気持ち良くなっているし、気をやらない事はない。杏寿郎さんはニコリと微笑み私を解放すると
「行ってくると良い!なんなら一緒に浴びるか?」
「…流石にそれは恥ずかしいので無理です!」
わはは!と笑う杏寿郎さんから離れ、私は浴室へと急ぎ向かった。
シャワーを浴び終え、浴室にあったバスローブに身を包む。
しまった…。せめて下着くらい持って来ればよかった。
そう思うも後の祭り。私の下着は杏寿郎さんが持っている鞄の中で、どっちにしろこの姿で杏寿郎さんの前に行かなくてはならない事には変わりない。いつまでもこうしていても仕方がないと意を決し、私は浴室から出た。
部屋に戻ると、杏寿郎さんはベッドに腰掛けスマートフォンを弄っていた。テーブルを見るとビールが一缶置いてあり、あれだけ飲んだのにまた飲んでいるのかと驚愕する。
「お待たせしました。杏寿郎さんもどうぞ」
杏寿郎さんは私が隣に座ると、スマートフォンをテーブルの上にポンと置く。
「その前に、ナオがまともに話が出来る今のうちに、明日の予定を話しておこう」
"まともに話せるうち"って…私は一体この後どうなってしまうのか。不安で仕方ない。
「明日の予定ですか?何かする事でもあるんですか?」
「うむ!結婚指輪を買いに行こうと思っている!」
杏寿郎さんのその言葉に、私は目を見開き杏寿郎さんの顔を見る。
「どうした?」
杏寿郎さんは私のその反応に不思議そうに首を傾げた。
「…指輪を買いたいと…お願いしようと思ってたんです…」
「そうか!だかお願いなどせずとも、結婚したのだから買うのは当然の事!」
そう言う杏寿郎さんの腕に私は抱きついた。