第11章 待ち侘びた日々
確かに蜜璃ちゃんの言う通りだと思った。前世では継子としてほぼ毎日杏寿郎さんと行動を共にしていたが、今世ではそうも行かない。杏寿郎さんを信じていない訳ではないが、いかんせん杏寿郎さんは自分に向けられる好意に対しては昔から鈍い。例え杏寿郎さんにその気がないとしても、自分の知らないところで、女性に迫られているところを想像すると、極めて不快だ。
「大丈夫です。ナオさんがかわいくおねだりすれば、煉獄さんならすぐにジュエリーショップに連れて行ってくれるはずです」
「確かにそうねぇ。"うむ!今から行こう!"なんてね」
「…っ…」
あまりにも似ていないカナエさんのモノマネに、思わず私は吹き出しそうになった。
「…確かに、よくよく考えれば、せっかく念願叶って夫婦になれたんですから、結婚指輪はしたいかもです。帰りの車で杏寿郎さんに相談してみます!」
何となく、杏寿郎さんは私が"結婚指輪が欲しい"とお願いしたら、とても喜んでくれる気がした。
「きっと素敵な指輪を買ってくれはずよ!決まったら写真送ってね!」
「うん。必ず送るね!」
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居酒屋が閉店の時間となり、大人達の二次会も終了を迎えた。いったい何杯お酒を飲んだのか、お会計を聞いた時は、目が飛び出るかと思う程驚いた。けれども結局、杏寿郎さんと私のお祝いの席と言うことで宇髄様、不死川様、伊黒様、冨岡様の4人がお金を出してくれた。"杏寿郎さんも沢山飲んでいたので払わせて下さい!"とお願いしたら、"そんなに払いたかったらここでもう一度誓いのキスをしろ"と宇髄様に言われたので、甘んじて払って頂くことにした。
「じゃあまた、月曜にな!」
「うむ!気をつけて帰るように!」
「お前らもなァ」
「ナオちゃんまたねぇ!連絡待ってるわ!」
「蜜璃ちゃんまたねぇ!カナエさんもしのぶさんも、またすぐ会いましょうね!」
私のその言葉に、カナエさんとしのぶさんはヒラヒラと手を振りかえしてくれた。
「…ナオ」
「わっ!杏寿郎さん、重いです!」
杏寿郎さんに背後からガバリと抱きつかれ、その重さにフラッとよろける。
「杏寿郎さん、あっついです。かなりお酒を飲んでいたみたいですが大丈夫ですか?」
「うむ!問題ない!強いて言えば気分が高揚している!」