第11章 待ち侘びた日々
不死川様を仕留めた宇髄様は、次に杏寿郎さんの両肩に手を置き真っ直ぐと目を見据え
「煉獄。お前の柏木への愛はそんなもんか?格好悪いなぁ。男だったら誓いのキス位ビシッと決めろや」
と、杏寿郎さんを試すかのように言う。
「む!それは聞き捨てならない」
あぁ。杏寿郎さん。お願いだから落ち着いて。
「俺のナオへの愛を舐めてもらっては困る。俺の彼女への愛は間違いなく世界一だ」
その言葉に私の胸はキュンと高鳴る。
ダメダメ。今はキュンとしている場合じゃない。逃げなきゃ。
「そうかそうか!なら今ここにいるみんなの前でその世界一の愛とやらを派手に証明して見せろ!」
宇髄様のその言葉に、杏寿郎さんの目の色が変わったのが私にははっきりとわかった。
これは不味い展開だ。
杏寿郎さんに捕まる前にと、そそくさ逃げようとしていた私の肩を掴んだのは
「しのぶさん。お願いです、離してください」
「…面白いので無理です」
綺麗な笑顔で微笑むしのぶさんだった。
「面白いだなんて…っ!そんな殺生なこと言わないで下さい!」
コソコソとそう訴える私に
「煉獄さん。愛しの奥様が何処かに行こうとしていますよ」
と無情にも杏寿郎さんを呼ぶしのぶさん。
「む!すまないな胡蝶!さぁナオ、こっちへ来なさい」
杏寿郎さんはそう言うと、有無を言わさず私の腕をパシリと掴み、宇髄様の待つ教室の中心へとずんずん進んでいく。その間、カナエ様と目が合い
"助けて下さい"
と目線で訴えたが、流石は姉妹と言うべきか、しのぶさんとそっくりな綺麗な笑顔で受け流されてしまった。
私にはもう、腹をくくってみんなの前でキスをすると言う選択肢しか残されていないようだ。
みんなの視線が杏寿郎さんと私、そして宇髄様に集まっているのを肌で感じる。
「えぇと…まぁ適当で良いか。煉獄杏寿郎。お前は柏木ナオを永遠に愛し、今度こそ幸せにすると派手に誓うか?」
適当で良いと言うのであれば、今すぐこの茶番をやめて欲しい。
「うむ!誓おう!」
「おし。柏木ナオ。お前は煉獄杏寿郎を永遠に愛し、今度こそ笑顔いっぱいの幸せな家庭を築くと派手に誓うか?」
そんな風に聞かれたら
「…誓います」
と答えない訳がない。