第11章 待ち侘びた日々
「喜んでもらえて何よりです。ほら!煉獄さんが待ってますよ。元の位置にお戻り下さい」
アオイちゃんの言葉に振り返ると、杏寿郎さんがニコニコとこちらを見ていた。
「はい。最後にもう一度言わせて下さい。…素敵なケーキを本当にありがとう。これまでの人生の中で、圧倒的に最高なケーキです!」
私は4人にそうお礼を述べ頭を下げた後、杏寿郎さんの隣へと戻った。
「それじゃあ気を取り直して!煉獄さん、ナオちゃん、ケーキ入刀をお願いします!」
蜜璃ちゃんはそう言うと、どこからともなく通常より少し大きめのケーキナイフを取り出し、杏寿郎さんと私にそれを握るよう言った。
まずは私が両手でケーキナイフを持ち、杏寿郎さんが私の手を包み込むようにその手を添える。チラリと斜め上にある杏寿郎さんの顔を見ると、優しげな表情でコクリと頷く。そして、2人一緒に手を動かし、4人の渾身の作品にスッとケーキナイフを入れた。
「あ!そのまま動かないで頂戴ね!さぁみんな!シャッターチャンスよ!」
蜜璃ちゃんのその声に、カシャカシャとスマートフォンのカメラの音があちこちから聞こえてくる。みんなにカメラを向けられるのが恥ずかしいなと思いながらも、まるで本当に披露宴でケーキ入刀をしているような気持ちになりとても嬉しかった。
カナエさんの手によって綺麗に人数分に切り分けられたケーキを食べ終えた頃、
「おし!それじゃあ次は誓いのキスだな!」
と宇髄様の悪魔のような一言が耳に届き、私の肩が思わずピクリと上がる。
ケーキ入刀の後に…誓いのキス?そんなの聞いた事ない。そもそもみんなの前でキスなんて…そんな恥ずかしい事出来ない‥っ!
と、心の中でごちる。
「おい宇髄ィ。いくらなんでも生徒の前だァ。こいつらのお祝いとは言えそれはだめだろうがァ」
「うむ!不死川の言う通りだ!」
そうだ、その通りだ。2人共もっと言え。
「ほぉう。さては実弥ちゃん恥ずかしいんだろう?そうかそうか、それじゃあ仕方がねぇよなぁ」
そう言いながら宇髄様は不死川様の肩に腕を回す。
「あぁん!?ガキじゃあるめェしそんな訳があるかァ!一回でも二回でも好きなだけすりゃあ良いだろォ!」
あぁ不死川様。宇髄様の口車に乗らないで。