第11章 待ち侘びた日々
「…気を…悪くしてないんですか?」
私がそう聞くと、杏寿郎さんはさも不思議そうな顔で
「なぜ俺が気を悪くする必要がある?寧ろ俺はナオが素直に気持ちをぶつけてくれる事が嬉しい!以前の君は些か溜め込みすぎる節があったからな」
と嬉しそうに言い、私を抱きしめる力を強める。
「…ありがとう…ございます」
あぁ。杏寿郎さんはどうしてこうも、私を暖かく包み込んでくれるんだろう。
そう思いながら、杏寿郎さんの胸に擦り寄っていると
「こんな所で何をしている。お前らには羞恥心というものが無いのか?」
「やだやだ!煉獄さんとナオちゃんってばこんな所で抱き合っているなんて大胆!素敵!」
その声にパッと杏寿郎さんから離れようとするも、その力強い腕が決して私を離そうとしない。
「甘露寺!会うのは久しいな!元気だったか?」
何故か私を抱き締めたまま普通に返事を返す杏寿郎さん。
「お久しぶりです煉獄さん!とっても元気です!ラブラブな2人を見て、今さらに元気になりました!」
「きょ…杏寿郎さん!離してください!
「わはは!断る!」
伊黒様と蜜璃ちゃんが歩いて来た方向からして、杏寿郎さんが2人が近づいて来ているのに気づかないはずがない。わかってて離してくれないのだから質が悪いなと思いつつも、自分を抱きしめて離さない杏寿郎さんを可愛いなと思い、伊黒様と蜜璃ちゃんが相手なら良いかと思う自分にこっそり苦笑いした。杏寿郎さんは満足したのか私から腕を離し、解放された私はくるりと振り返ると伊黒様と蜜璃ちゃんの方へ身体を向ける。
「で、お前らはこんな所で何をしている?」
「俺たちか?俺たちは今、互いの愛を確かめ合っていた所だ!」
伊黒様は杏寿郎さんの答えに、心底呆れた顔をしながら
「そんな事は聞いていない」
と答えた(私も全く同意見である)。
「伊黒様、お久しぶりです。先日は蜜璃ちゃんと引き合わせて頂きありがとうございました」
「お前のためじゃない。全て甘露寺の為だ」
と相変わらずの口調で言った。