第11章 待ち侘びた日々
幸せな式を想像しながら、愛する人の腕に包まれて眠れる今が、この上なく幸せで、不思議と涙が込み上げてきた。
「杏寿郎さん。おやすみなさい」
「おやすみナオ」
ちぅっ
と最後に一度軽く口付けを交わし、杏寿郎さんと私は眠りについた。
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翌日の夜。
「父上、母上!相談したいことがあるのですが宜しいでしょうか」
夕食を食べ終え、瑠火様と千寿郎さんと3人で後片付けをしていると、杏寿郎さんが槇寿郎様にそう言う声が隣の台所まで聞こえてくる。
「…私もと言う事は、彼方に向かった方が良さそうですね。千寿郎、片付けがもう少しで済むので、2人に待っているよう伝えてきてもらえますか?」
「はい!母上!」
千寿郎さんはお皿を拭いていた布巾を一旦置き、杏寿郎さんと槇寿郎様がいる居間の方へと小走りで去って行った。
「ナオさん、私はお茶を淹れるので後をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい!お任せ下さい!」
私は落ちかけていた袖を捲り直し、急ピッチでお皿を拭き上げるのに取り掛かった。
「で、相談とはなんだ?」
遠慮して部屋に戻ろうとする千寿郎さんも引き留め、杏寿郎さん、槇寿郎様、瑠火様、千寿郎さん、そして私はお茶を片手にテーブルを囲む。
「はい!結婚式についてですが、披露宴などはせず、ナオと2人きり、どこかの神社で挙式だけできればと考えております!」
槇寿郎様はお茶を一口啜り、
「お前らの好きにすれば良い。だが向こうのご両親の意向はどうなんだ?」
と私の方に目を向けながら言った。
「今日、母に連絡をしましたところ、同じように好きなようにすれば良いと言ってくれました。…写真は必ず残す様に言われましたが」
休み時間に電話をかけると、
"あら!ロマンチックで良いわね!お母さん賛成よ!でも必ず写真だけは撮って来ること。素人じゃダメよ?きちんとプロのカメラマンに頼んで、良い写真だけでも持って帰ってきてね!"
母はそう言って電話の向こうで嬉しそうに笑っていた。
「それは同意見です。私個人としてはナオさんのウェディングドレス姿も見たいところですが、"神社で挙げたい"と言うことは和装を希望していると言う事ですよね」
瑠火様は、まるで何かを確認するかの様に杏寿郎さんと私を見ながら言う。